「70年代のニューヨークのダウンタウンから現れた最もロックンロールな作曲家」と称されていたArnold Dreyblatt。Pauline Oliveros、La Monte Young、Alvin Lucierといった巨匠の下で音楽を学んで、エクスペリメンタルでアヴァンギャルドな音楽を展開。1984年よりドイツのベルリンを拠点に活動しています。彼の90年代の未発表アーカイヴ音源集がリリースされました。
Arnold Dreyblatt / Star Trap
本作はOren Ambarchi主宰のBlack TruffleからVinylオンリーでリリース。Arnold Dreyblattのソロ・パフォーマンスではなく、彼の作曲した曲を演奏するグループOrchestra Of Excited Stringsによる全6曲を収録しています。弦楽器、管楽器に独特なリズムを醸し出しているパーカッションが絡んでいます。さらに民族楽器なども駆使して異色のグルーヴ感で曲を盛り上げて来ます。Arnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Stringsのアルバムは色々と聴いてきた私ですが、これまでの華麗に鳴り響かせていたのと比べると、いい意味での「チンドン屋みたいな雰囲気」をサウンドに感じてしまった。音の塊がファンキーでカオスティックに攻め込んでくる弦楽オーケストラに嵌っています。最高にかっこいい!!
91年、93年、97年の3カ所でのスタジオ・ライブ音源の寄せ集めですが、意外と統一感もあります。時代背景を考えるとオルタナティヴ、ポストロックといった当時の新たなる動向に対するArnold Dreyblattの回答が込めらているように思う。その趣旨に合わせて選曲された感じがする。さらに、今回は単なる未発表音源ではなくアーカイヴという観点で、Bang On A Canのアルバム「Renegade Heaven」にオリジナルとして書かれた「Escalator」、90年代の実験音楽レーベルとして名高いTable Of The ElementsのVarious盤「 A Field Guide To Table Of The Elements - Southeastern Edition」の「Star Trap」なども The Orchestra of Excited Stringsにて再構築して収録されています。
これらの音源をベルリンの音響職人Kassian Troyerがダブプレートとマスタリングを担当し、カヴァー・デザインをノルウェーのノイズ・エクスペリメンタル系のミュージシャンLasse Marhaugが行っているのも興味深い。
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