ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

MV&EEの新作 ”Green Ark” は、これまでのサイケ・フリーフォークの領域を超えた傑作‼

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2000年代初期よりサイケ・フリーフォークを奏でてきたアメリカ・バーモントのMatt ValentineとErika ElderによるMV & EE。彼らの場合、CDRやカセットでの自主制作によるリリースが多いことでも知られている。Matt Valentineはソロでアルバム制作も行いながら、P.G. Six とのコラボレーション・ユニットWet Tunaとしても活動していた。最近になってWet TunaからP.G. Sixが脱退しており、Matt ValentineはWet TunaをErika Elderを含めて様々なゲストを迎えて再スタート。昨年にアルバム “Warping All By Yourself”、今年も新作 ”Party In The House“ をリリースしている。そんな多忙の中、MV&EEとしての新作がリリースされました。

 

MV&EE / Green Ark

本作はオーストラリアのRamble Recordsより全6曲収録のLPレコード2枚組としてリリース。このレーベルは、世界中のアウトサイダーミュージック、フリーフォーク、フリージャズ、サイケデリックなどを扱うユニークな新興レーベルでもあります。もちろん自身のレーベルChild Of MicrotonesでCDRとしてセルフリリースも行っている。2人のヴォーカルやギターとキーボードを中心に、様々な楽器やエレクトロニックスを駆使してサウンド構築。サポートとしてMV&EEには欠かすことのできないCoot Moonがベースとドラムで参加しています。

 

1曲目 ”Free Range“ からミニマルドローンで攻め込んで、エキゾチックな雰囲気を醸し出している。3曲目 ” Dancin'“ は2020年のアルバムCap Tripsの収録曲 ”Dancin' In The Street“ をモチーフにしてダブ・ヴァージョン的な展開であります。これまでと少し違う展開にワクワクして聴いていくと、4曲目 ” Livin' It Up“ でMV&EE流のトリップ・ホップな曲にゆっくりと穏やかなトランス状態に引き込まれる感じ。ラスト6曲目 ”Rebirth“ のメトロノームのようなリズムで現実に戻るようなヤバいアルバムとなっています。色々な要素を取り入れてコズミックな世界を作り上げた傑作です。

 

これまでのサイケ・フリーフォークの領域を超えています。その背景にはWet Tunaを継続させたこともあると思う。Wet TunaがMV&EEの流れを踏襲したことで、何かの変化が欲しかったのかもしれません。昨年リリースされた6枚組ライブ音源ボックスのタイトルGreen Arkと同じになっていることについて、特に意味はないと本人らは発言しています。ただ、Lee Perryの新しい音楽生命体を生み出すという Black Ark の信条を参考にGreen Arkとしたようです。新たなるMV&EEにとって、必要なタイトルだったのでしょうね。今後もMV&EEの動向を注目していくしかないです。

 

 

 

私はレコードで購入しましたが、セルフリリースであるCDRは、ここでの販売のみとなっています。