ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

フランスBégayerの新作、アヴァンギャルドでありながらも、ポップさも兼ね備えた異形の音響空間!

2015年頃よりLoup Uberto、Lucas Ravinale、Alexis Vineïsの3人によって結成されたフランスのアヴァンギャルドサイケデリックバンドBégayer。フランス語で、どもり、吃音を意味したバンド名で、Loup Ubertoの個性的なヴォーカルを中心に、様々な要素をモチーフにしたサウンドが魅力です。2022年に2人のメンバーJean-Philippe Curtelin、Etienne Foyer が参加して、5人編成となっている。本日は今年3月に新作 ”Évohè B​è​gue” がリリースされたので、これを取り上げたいと思う。

 

Bégayer / Évohè B​è​gue

本作はフランスのレーベルVia Parigi、Le Saule、Murailles Musicによる3社共同リリースで、Bégayerに対する期待感を感じる。これまでのシャンソン、ブルース、民族音楽を軸にミックスしたアブストラクトなサウンドであるが、よりノイジーでパーカッシブに鳴り響く。リュート、ベゲナ、ウトガルドン、バグパイプ、スルドといった民族楽器を駆使しつつ、エレクトロニクスを巧く取り入れ催眠術のようなトランス状態に導いていく。そこに脱力感に満ちたLoup Ubertoの軽い雄たけびが、不気味に絡みつく不思議な世界です。

ミュージック・コンクレート作品であるが、ロックやジャズなどの要素も滲ませている。個人的にはCaptain BeefheartのTrout Mask ReplicaやBrian EnoがプロデュースしたNo New Yorkあたりの雰囲気を感じてしまった。アヴァンギャルドでありながらも、ポップさも兼ね備えた異形の音響空間を構築。最高に素晴らしいです!

 

アルバム ”Évohè B​è​gue” からの1曲です。

 

最近のライブ映像です。

 

 

2021年にリリースされたベルギーのシンガーソングライターAntoine Loyerとのスプリット・アルバム “Sauce chien et la guitare au poireau” について書いています。