ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Thomas Bushの新作、イギリスの憂鬱な雰囲気を独特の浮遊感で纏ったチェンバー・ポップ!

20年以上様々なユニットでインディ・ロックからインダストリアル、アンビエントの音楽を実践してきたイギリスのアーティストThomas Bush。2018年にやっとソロアルバムデビューをしています。本日は今年リリースされたソロ3作目のThe Next 60 Yearsを取り上げます。

 

Thomas Bush / The Next 60 Years

本作はロンドンのインディーズレーベルJolly Discsよりヴァイナルとデジタルでリリース。Jolly DiscsのオーナーでもあるGuy GormleyとThomas Bush本人との共同プロデュースにて制作しています。チェンバロとギターやシンセの音色を中心にノイズを含めて様々な音が交差するサウンド。そこにThomas Bushのナイーブでダークなヴォーカルが絡む世界です。イギリスの憂鬱な雰囲気を独特の浮遊感で纏ったチェンバー・ポップに仕上げている

 

Thomas Bushの歌声からは、現代社会における生きづらさを表しており、そこから脱却して牧歌的生活をしたいと藻掻いているようにも思える。アルバムジャケットの時計は12時表記でなく13時表記になっています。ちょっと興味深いです。タイトルのThe Next 60 Yearsからは、60年後も長く聴き続けられるべきアルバムでありたいと思っているのかな? 彼の様々な思いと不思議な魅力を詰め込んだ素晴らしいアルバムです。

 

 

Thomas Bushは長い音楽活動歴が有りながら、その殆どが世界的に知られることなく経過していた。ただ、2019年にレーベルJolly DiscsのオーナーGuy GormleyとのコラボレーションユニットRAPとしてリリースしたアルバムExportが、なんとPitchforkで8.4と高得点をマークし、Best New Musicを獲得。エクスペリメンタルな電子音楽ニューウェーヴやポストパンクの要素を取り入れたミステリアスな作品を作り上げている。こちらも素晴らしいです。