NYの孤高ギタリストLoren Connorsのパートナーとして知られる女性ヴォーカリストSuzanne Langille。80年代後半よりLoren Connorsと共に活動を行っています。一方、Neel Murgaiはラーガ音楽に影響を受けてBrooklyn Raga Massiveという音楽集団を結成したマルチ・インストゥルメンタル奏者です。90年代後半には、Loren ConnorsとSuzanne LangilleのバンドHaunted Houseにも参加していました。今回、2人の10年振りとなるコラボレーション・アルバム「Come When The Raven Calls」がリリースされました。
Suzanne Langille & Neel Murgai / Come When The Raven Calls
本作はSuzanne Langilleの妹でブルース歌手でもあった故Laurette Langilleの曲も1曲歌っています。レクイエムといった雰囲気を醸し出しながら、Suzanne Langilleの恍惚とした悲しみと怒りを歌に託している。これまでに無く歌と真摯に向き合っている気がする。ブルースのスピリットを巧く取り込んで、後半は生き残るためへと導いています。ラスト9曲目「If You Can Wake」は40秒ほどのヴォーカルのみの曲です。この曲の最後をDawn Is Coming Soonと締めくくっています。歌詞を収録しているのも、そこが重要だと思ったのでしょうね。
Steven R. Smithの変名ユニットUlaan Passerineの新作7インチ。アート・デザイナーDavid V. D'Andreaとのコラボレーションです。David V. D'Andreaのサイトより購入。本人のメッセージ・カード2枚も入っていました。Steven R. SmithのBandcampでのアップは、まだなので早くアップして欲しい!
Suzanne Langille & Neel Murgai / Come When The Raven Calls(Vinyl) 購入先ディスクユニオン・オンライン 購入価格2,970円
「70年代のニューヨークのダウンタウンから現れた最もロックンロールな作曲家」と称されていたArnold Dreyblatt。Pauline Oliveros、La Monte Young、Alvin Lucierといった巨匠の下で音楽を学んで、エクスペリメンタルでアヴァンギャルドな音楽を展開。1984年よりドイツのベルリンを拠点に活動しています。彼の90年代の未発表アーカイヴ音源集がリリースされました。
Arnold Dreyblatt / Star Trap
本作はOren Ambarchi主宰のBlack TruffleからVinylオンリーでリリース。Arnold Dreyblattのソロ・パフォーマンスではなく、彼の作曲した曲を演奏するグループOrchestra Of Excited Stringsによる全6曲を収録しています。弦楽器、管楽器に独特なリズムを醸し出しているパーカッションが絡んでいます。さらに民族楽器なども駆使して異色のグルーヴ感で曲を盛り上げて来ます。Arnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Stringsのアルバムは色々と聴いてきた私ですが、これまでの華麗に鳴り響かせていたのと比べると、いい意味での「チンドン屋みたいな雰囲気」をサウンドに感じてしまった。音の塊がファンキーでカオスティックに攻め込んでくる弦楽オーケストラに嵌っています。最高にかっこいい!!
91年、93年、97年の3カ所でのスタジオ・ライブ音源の寄せ集めですが、意外と統一感もあります。時代背景を考えるとオルタナティヴ、ポストロックといった当時の新たなる動向に対するArnold Dreyblattの回答が込めらているように思う。その趣旨に合わせて選曲された感じがする。さらに、今回は単なる未発表音源ではなくアーカイヴという観点で、Bang On A Canのアルバム「Renegade Heaven」にオリジナルとして書かれた「Escalator」、90年代の実験音楽レーベルとして名高いTable Of The ElementsのVarious盤「 A Field Guide To Table Of The Elements - Southeastern Edition」の「Star Trap」なども The Orchestra of Excited Stringsにて再構築して収録されています。
A面は4パートによるOceansとThe Deserterの2曲構成。マリンバ、ピアノ、ブックラ・シンセ、オルガンで奏でるミニマルでアンビエントな世界。Orchestre Philharmonique De Radio FranceのパーカッショニストGabriel Benloloがマリンバで参加しています。曲のタイトルにあるように海の鼓動やうねりをイメージしてサウンド構築した感じです。Alexandre Bazinが影響を受けたライヒ、サティー、イーノの要素を巧く纏め上げています。