1997年のLoren Connorsとのジョイント・ライブでのAlan Lichtソロ・パートからの1曲です。フォーキーなフレーズをミニマルさせながら、徐々にノイジーなギターを絡めながらコズミックでサイケデリックな世界を築き上げてきます。最後は自由奔放に暴走したギターがカオスティックに鳴り響く。幻想的な雰囲気を醸し出しながらトランス状態へと引きずり込む展開は本当にヤバいです。この感覚を是非とも味わって欲しい!尚、この曲はライブでの定番曲ということもあって、2003年リリースの「A New York Minute」でも2000年のライブ音源が収録されています。Alan Lichtを代表する1曲と言って良いでしょう。
The Old Victrola
1995年、1997年、2000年のライブセットから抜粋した音源をエンドレスで繋いでいます。Captain BeefheartとDonna Summerの曲をサンプリングしながらドローン・ミニマルミュージックを展開。冒頭からCaptain Beefheartの”Well”でスタートして、そこに不穏でノイジーなギターが掻き鳴らされる。その後、Donna Summerの”Dim All The Lights”の声を長く伸ばした部分を10分以上延々と引き延ばして本曲へ突入する。最後の方はAlan Lichtのヴォーカルで幕を閉じるユニークで不思議な曲です。この曲を聴いた時は、Terry Rileyの2000年に発掘音源としてリリースされた「You're Nogood」の手法をパクってしまったのかと思った。”You're Nogood”は60年代の未発表発掘音源なので時間的には無理なんですけどね。もし、Alan Lichtと話が出来たなら、この辺りを聞いてみたいとずっと思っていました。
The Old Victrolaでサンプリングした Captain BeefheartとDonna Summerの曲、それと私がパクりと勘違いしたTerry Rileyの曲も合わせてアップしておきます。
Alan Licht Bandcampでは、新作カセット・アルバム「A Symphony Strikes the Moment You Arrive」もアップしていました。注文済みで間もなく届く予定です。こちらも楽しみです。
1987年から活動を続けるイギリスのサイケデリック・バンドThe Telescopes。初期のころはあのCreation Recordsに所属していたこともありました。1992年のセカンド・アルバムのあとに、一旦活動を休止してしまう。その後、2000年代初めに復活した時には、Stephen Lawrieのソロ・プロジェクト的なスタイルで現在に至っています。2年振りとなる通算12作目となる新作「Songs Of Love And Revolution」がドイツのTapete Recordsよりリリースされました。
The Telescopes / Songs Of Love And Revolution
最初にこのアルバムを知った時、何この60年代、70年代のような古典的なタイトルの付け方は?と思ってしまった(笑) The Telescopesのこの10年位は、何台ものギターを重ね合わせたドローン・サウンドを中心に展開していた。本作はこれまでとは違っていて、ドラム、ベースのリズム隊がしっかりと土台構築した中で、轟音ノイズギターを掻き鳴らしている。そこにStephen Lawrieの呪文のように呟くヴォーカルが不気味に絡んでいます。よりシンプルで攻撃的なサイケデリック・サウンドです。原点に戻ったというよりは、進化してガレージ的な雰囲気をも兼ね備えた感じであります。
冒頭の「This Is Not a Dream」、2曲目の「Strange Waves」は、このアルバムを象徴とするノイズギターが炸裂した曲を収録。この2曲でガツンとやられてしまった。その他、Stephen Lawrieの幻想的なドローン・ヴォイスを中心とした曲「Mesmerized」では新たな展開を模索し、ラスト曲「Haul Away The Anchor」はコロナで亡くなった義父に対するレクイエムなど聴きどころ満載。さらに、「Come Bring Your Love」や「You're Never Alone With Despair」といった曲名からはStephen Lawrie流の愛情や優しさも感じます。コロナ渦で疲弊しきった人々にはLove and Revolutionが必要であることを改めて確認してくれる1枚。The Telescopesの最高傑作と言ってもいいでしょう!!