ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Catherine Christer Hennix

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スウェーデン出身の女流ミニマル・ドローン作家のC.C. Hennix (born 1948) 。60年代から音楽を学び始め、1970年代初期にLa Monte YoungやPandit Pran Nath(1918-1996)に出会う。彼らの元で本格的にミニマル・ミュージックを研究し、実践して行く。その後、Henry Flyntのコラボレーターとして音楽的実力を発揮していくのでありました。しかしながら、リアルタイムで彼女の作品が世に出る事は無く、2010年になってやっと70年代の重要作品「The Electric Harpsichord」が、CD化された。そして、最近の活動を伺うことの出来るライブ盤もリリースされるようになってきた。Henry Flyntのコラボレーションによって彼女のことを知った人も多いと思うので、そのあたりをも含めて3作品紹介したいと思う。

 

尚、Henry Flyntについては、昨年このブログで取り上げています。


Henry Flyntに再び熱くなっています。 - ディスカホリックによる音楽夜話

 

 

Catherine Christer Hennix / The Electric Harpsichord

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1976年にスウェーデンストックホルムで録音されたC.C. Hennixにとっての重要な作品であります。La Monte YoungとPandit Pran Nathの全面支援の中で、電子ハープシコードを中心にサイケデリックなミニマル・ドローンを響かせています。どことなくラーガ音楽を感じるのは、もちろん師匠であるPandit Pran Nathの影響です。

 

ボックス仕様となっているパッケージの中にはCDの他、A Memorial Tribute Edition To Sri Faquir Pandit Pran Nathと題された50ページ以上にもなる小冊子が付いています。その小冊子にはLa Monte Youngによる2つの詩、そしてHenry Flyntのエッセーなどが載っています。ボックスの裏には、Glenn Brancaまでもがコメントを寄せています。録音から34年も経った今でも、この作品の普遍的な魅力が失われていないことの証だと思う。

 

C.C. Hennix単独名義のアルバムは、今のところ、これだけですが、音源としてはまだ色々あるようです。早く次もリリースして欲しいですね。


Catherine Christer Hennix - The Electric Harpsichord [1 of 2] - YouTube

 

 

Henry Flynt&C.C. Hennix / Dharma/Warriors

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Henry Flyntとのコラボレーションは、私の知る限りでは70年代後半に始まっている。殆どHenry Flynt名義になっている中で唯一、この1983年に録音され2008年にリリースされた「Dharma/Warriors」だけが共作となっている。80年代のHenry Flyntと言えば、ヴァイオリン・ドローンが主流になっていて、C.C. Hennixはタンブーラを駆使して、より一層、瞑想サウンドに深みを与えていったのでありました。

 

今回はHenry Flynt がギターで CC Hennix がドラムという編成で、ポストロックあるはマスロックの原点を思わせる様なサウンドを2曲収録しています。これには正直驚いてしまった。ギターとドラムのみでシンプルなんだけど、ロックンロールやブルース、そしてブギといったギター・フレーズが飛び交う中、そこらへんにある物を単に引っ張たく様なドラムでの応戦は最高!双方ギリギリのところでバトル展開しているところが、めちゃくちゃ格好いい。


Henry Flynt and C.C. Hennix - Mount Fuji On My Mind - YouTube

 

 

Chora(s)san Time-Court Mirage / Live At The Grimm Museum Volume One

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 2010年の「The Electric Harpsichord」リリース以降、C.C. Hennixの周辺が慌しくなってきたのも確かです。2011年のベルリンで彼女を中心としたユニットChora(s)san Time-Court Mirageでライブを行なっている。参加メンバーは、トロンボーン奏者でありZeitkratzerの一員でもあるHilary Jeffery、チューバ奏者Robin Hayward、ヴォイス・アーティストAmelia Cuni、サウンド・アーティストMichael Northamであります。その模様を収録したライブ盤「Live At The Grimm Museum Volume One」が2012年にリリースされている。

 

これぞ!ドローン・ミニマルの傑作とも言うべき素晴らしい演奏を行なっています。Volume OneとうことなのでVolume Twoもあるのでしょうか?期待したいところです。このアルバムは、英国の音楽誌The Wireの2012年のベスト・アルバム 第6位にも選ばれています。


CATHERINE CHRISTER HENNIX - CHORA(S)SAN TIME-COURT MIRAGE - YouTube

 

 

尚、2013年にはChora(s)san Time-Court MirageのメンバーでもあるAmelia Cuniに、Arnold Dreyblatt And The Orchestra Of Excited StringsのWerner Durandを入れた新しいユニットBorn Of Sixでも1枚アルバムをリリースしています。しばらくは、C.C. Hennixの動向には目が離せません。