ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

P.E.のセカンド・アルバム! バブルガムポップやニューウェーブ、ノーウェーブといった雰囲気を醸し出しながらダンサブルで新感覚のポップさを体感!

解散したポストパンクPillの3人Benjamin Jaffe、Jonathan Campolo、Veronica Torresとロック、ジャズ、ノイスなど様々な音楽を実践しているコラボレーション・ユニットEaters のBob Jones、Jonathan Schenkeが合体して結成されたNYブルックリンのP.E. 。彼らの2年振りとなるセカンド・アルバム “The Leather Lemon” がWharf Cat Recordsよりリリースされました。

 

P.E. / The Leather Lemon

2020年のデビューアルバム “Person” の流れを踏襲しつつ、さらに60年代後半のバブルガムポップや80年代のニューウェーブ、ノーウェーブといった雰囲気を醸し出しながらダンサブルで新感覚のポップさを体感出来ます。Jonathan Schenke、Bob Jones、Jonny Campoloの3人が、シンセ、ベース、パーカッション、ピアノを駆使してサウンドのグルーブ感を構築して、Veronica Torresの官能的なヴォーカルとBenjamin Jaffeの変幻自在なサックスがぶつかり合う展開。Veronica TorresとBenjamin Jaffeの真っ向勝負も “The Leather Lemon” の聴きどころです。

 

プロデュース、ミックス、マスタリングは、前作同様にJonathan Schenkeが行っています。前身バンドPillからP.E.をここまで進化させたのは、彼のおかげだと思う。プロデューサー、エンジニアとして様々なアルバム制作に裏方として関わっており、要注目の存在でもあります。

 

もう1人注目しなければ成らないのがヴォーカルのVeronica Torresです。これまではスポークンワード的に淡々と歌うことが多かった。でも本作ではしっとりとロマンティックにも歌い上げています。その代表曲的な曲ががParquet CourtsのAndrew SavageとのデュエットTears in The Rain (feat. A. Savage)です。Jonathan SchenkeがParquet Courtsのアルバム制作にエンジニアとして関わっていたことが切っ掛けで、このデュエットが企画されました。ヴォーカリストVeronica Torresとしての魅力がアップされたことは確かですね。

 

本作は歌詞の世界もユニークです。“Blue Nude (Reclined)” はHenri Matisseの切り絵を、“Lying with the Wolf” はKiki Smithの紙画を、それぞれモチーフにしてVeronica Torres が歌詞を書いています。オリジナルアートと歌詞もアップしておきます。

Blue Nude / Henri Matisse

Amazon.co.jp : Blue Nude I by Henri Matisse 12 X 9.5 Art Print Poster by  EGIM : ホーム&キッチン

チクチクする肌、温かい唾液

残忍な恋人

 

青いヌードが横たわる

絵画のような、陶磁器のような

そして彼女は回転する

 

平和を守るためのフレンチキス

平和を守るためのフレンチファック!

平和を守るためのフレンチキス

 

あなたは私を懇願させたいのですね

私を手なずけたいのね

 

Lying with the Wolf / Kiki Smith

Kiki Smith, Lying with the Wolf (article) | Khan Academy

私は時間に取り憑かれている

失ったもの、無駄にしたもの

手放してしまったもの

めまいがするほどだ

 

窓の外を眺めながら

私たちが恋に落ちた庭の日陰を

二人の肌を照らす光は

夏の体の甘い匂いを吸い込みながら

鳥の声 もう忘れてしまった

いい日だと言い直されないように

素敵な日、素敵な時間、素敵な笑顔の人と

もうピルエットをすることもない

 

狼が捕まった!  狼が捕まった!

 

メンバー5人の英知が結集して作り上げられた ”The Leather Lemon“。男性にとってはちょっとハッとさせられる部分もありますが、聴き込んでいくとテンションが上がって来ますね。ライブが観たいバンドです。

 

 

P.E.のデビュー・アルバムについても書いています。