ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Robert Hampson率いるLoopの32年振りとなる新作!

Robert Hampson率いるLoopは、1985年にサウスロンドンで結成します。My Bloody ValentineSpacemen 3と並んで、80年代初期のポストパンク期以降の英国サイケデリアを象徴するエクスペリメンタル・ノイズロック・バンドでした。3枚のアルバムをリリースして1991年に解散。Robert Hampsonはエレクトロニクスを中心としたプロジェクトMainとして活動を始めます。その後、フランスの実験音楽家Pierre Schaefferが1958年に設立した電子実験音楽集団GRM(Groupe De Recherches Musicales)にも参加するようになり、よりエクスペリメンタルでコンテンポラリーな方向へと進んでいた。

 

そんなRobert Hampsonの転機となったのが、2013年の “All Tomorrow’s Parties” に出演するためにLoopを解散時のメンバーで限定的に再結成したことです。2000年代後半より、これまでのアルバムのリマスター、リイシューする作業を始めていて、Loopでまだ何かやれると思ったのでしょうね。2015年には新メンバーにて4曲収録のEP盤 “Array 1” をリリースしています。散発的にフェスに参加していたが、あまり情報が入ってこなかった状況でした。

 

Loop / Sonancy

今年になって32年振りとなる新作アルバム “Sonancy” がリリースされました。参加メンバーは2015年のEP盤 “Array 1”と同じく、ギターDan Boyd、ベースHugo Morgan、ドラム Wayne Maskell、そしてRobert Hampsonのヴォーカル&ギターという布陣です。Hugo MorganとWayne Maskellの2人は90年代から活動しているサイケバンドThe Headsのメンバーでもあり、曲作りにも深く関与出来る存在でもあります。

 

このアルバムは、EP盤 “Array 1” の方法論とはまったく違う物にしたいと考えていて、ディストピアな怒りをインスピレーションとして表現したかったとRobert Hampsonは語っています。ノイジーなギターリフと呪文を唱えるようなヴォーカルを織り交ぜながらLoopサウンドを構築。これまでの土着的なドロドロしたサイケ感を少なくして、すっきりとデジタル的に施された音の感触は、ストイックで整然としていながらも暴力的に鳴り響く。プレ・シューゲイザー的存在であったLoopが真っ向からシューゲイザーと向き合った1枚。長年待たされた甲斐のある傑作です。

 

 

 

実は、2015年のEP盤 “Array 1”は、Arrayシリーズとして3枚のEP盤をリリースする予定だった。リリース元のATP Recordingsが倒産したことで、お蔵入りになっているようです。自分達に資金が無かったので、リリースは諦めたとのこと。いつか完成させたいと思っていますが、音楽業界はもうそのようにはうまく機能してないとのことです。早くリリースして欲しいですね。