ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Kammerflimmer Kollektiefの新作 “Schemen” ラディカルでエキセントリックな世界を体感して欲しい!

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Thomas Weber率いるドイツのエクスペリメンタル・バンドKammerflimmer Kollektief。90年代後半に結成され、サイケデリックフリー・ジャズ、ノイズといった要素を絡めたポスト・ロックを奏でてきました。結成時は6人編成で、流動的なメンバー構成であった。2010年代以降より現在の3人編成、Johannes Frisch(ダブルべース)、Heike Aumüller(ハーモニウム)、Thomas Weber(ギター)を中心に活動を行っています。今回、5年ぶり11作目となる新作 “Schemen” がドイツ・ベルリンのレーベルKarlrecordsよりリリースされました。

 

Kammerflimmer Kollektief / Schemen

これまでのラディカルでエキセントリックなサウンドを踏襲しつつ、地に足をつけたような力強い内容となっています。と言うのもドラムとしてChristopher Brunnerが、全面参加しています。彼は2000年代Kammerflimmer Kollektiefのドラマーとして活躍しており、3人編成になった後も、曲によって単発的にサポート参加していました。正式メンバーなのか?わかりませんが、自由奔放にドラム演奏を展開しています。このことでダブルべースのJohannes Frischが影響を受け、フレキシブルに個性を発揮した曲が多いのも確かです。

 

このリズムセクションがしっかりしたことで、Thomas Weberのギター、エレクトロ二クスやHeike Aumüllerのハーモニウムから発せられる多彩な音がトリッキーであっても、一つの纏まった曲として完成度の高い作りになっている。アルバム・タイトルであるSchemenは、ドイツ語で幻影という意味で、彼らの心の中に描き出されたインスピレーションをサウンドとして伝えています。アルバムによっては、1,2曲Heike Aumüllerのヴォーカル曲を聴くことが出来たが、今回は収録されていません。たぶん、言葉によるメッセージは必要なかったのでしょう。

 

全8曲収録で、8分を越える曲から30秒に満たない曲までKammerflimmer Kollektiefの魅力満載。曲名の前にErstes Kapitel(第1章)、Zweites Kapitel(第2章)、Drittes Kapitel(第3章)と入れてトータル・アルバム的な印象を表している。結成当初から、Kammerflimmer Kollektiefは独自の音楽的ビジョンを持って活動してきました。25年近く経っても基本的に何も変わっていません。ただ、本作はより深く進化、熟成した感じです。彼らの素晴らしさを体感して欲しい!

今回のアルバムジャケットもHeike Aumüllerによるもので、もはや定番となっている顔の表情を表さない写真が使われています。Kammerflimmer Kollektiefとしての拘りです。