ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

2022年4月のディスカホリック

4月22日にフジロックの第2弾ラインナップ発表されました。今回はVampire Weekend、Jpegmafia、 The Hu、Bloodywoodの4組です。これでヘッドライナー3組が、Vampire Weekend、Jack White、Halseyに決定しました。第1弾発表の時に地味な感じがすると書きましたが、海外勢がヘッドライナーを収めたことで、ちょっと安心しました。まあ、ここ数年ヘッドライナーは殆ど観てないですけどね。フジロックらしさで言うならモンゴルの伝統的なサウンドと現代のメタルを融合させた The Hu、インド、ニューデリー発、母国の民族楽器でメタルを炸裂するBloodywoodに注目。メタル系に疎い私ですが、欧米じゃないことに興味芯々です。開催まであと3ヶ月、待ち遠しい!

 

4月のディスカホリックは19作品の購入実績でした。カセットが11本、CDが2枚組を含めて5枚、レコードが4枚となっています。円安なので国内で購入出来るように色々と検索しながやっています。今月はすべて国内ショップからの購入です。いつものように殆ど聴けていませんが・・

 

Club Sound Witches / Bleeps from the 'Gong(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,653円

オーストラリアのMatthew EarleとNicola Mortonによる音響アンビエント・テクノ・デュオClub Sound Witches。2019年に自身のレーベル以外のChemical Imbalanceからリリースされたカセット音源。

昨年Club Sound Witchesについて書いています。

 

 

More Eaze / Spiraling(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,653円

エレクトロニクスを駆使してハイパーポップを奏でるMore Eazeの新作。

 

Claire Rousay and More Eaze / Never Stop Texting Me(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,663円

音響アンビエントClaire RousayとMore Eazeのコラボレーション3作目となる新作。

 

 

P.E. / The Leather Lemon(Vinyl) 購入先Jet Set Online Shop 購入価格3,590円

ブルックリンの解散したPillのメンバーとEatersのメンバーが合体したP.E.の2作目となる新作。

P.E.のデビュー・アルバムについて書いています。


 

4月5日にDommuneで行われた"Reynols Japan 2022"のイベント、もの凄く面白かったです。その影響を受けてリモート出演したReynolsのギタリストAnla Courtisのアルバムを3作品も購入しました。

Anla Courtis / B-Rain Folklore(CD) 購入先Record Shop Reconquista 購入価格2,076円

Anla Courtis / B-RAIN FOLKLORE

Anla Courtisがアフリカ、アジア文化の影響を受けて作られた2015年リリースのフォークロア作品。

 

Uton - Courtis – Flokka Kur(CD) 購入先Record Shop Reconquista 購入価格2,076円

フィンランド、Jani Hirvonenのノイズ・ソロユニットUtonとAnla Courtisの2013年リリースのコラボレーション。

 

Pauline Oliveros and Alan Courtis / Telematic Concert(Vinyl) 購入先Record Shop Reconquista 購入価格2,906円

アコーディオン奏者で実験音楽家Pauline OliverosとAlan Courtisによる2009年のライブ音源。

 

 

Half Japanese / I Guess I'm Living: The Charmed Life Tapes(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格1,843円

Half Japaneseの2021年Record Store Day限定アルバム。1986年リリース “Charmed Life” の未発表音源集です。

 

 

The Reds, Pinks & Purples / Summer At Land's End(CD) 購入先Diskunion.net 購入価格1,980円

Glenn Donaldson率いるThe Reds, Pinks & Purplesの4作目となる新作。

 

 

Black Country, New Road / Ants From Up There(2CD) 購入先Diskunion.net 購入価格2,376円

Black Country, New Roadの新作。ライブ音源とセットになった2枚組。

 

 

Wet Tuna / Warping All By Yourself(Vinyl) 購入先Diskunion.net 購入価格3,080円

Matt ValentineとPat GublerのユニットWet Tunaの新作。ただし、本作はPat Gublerは不参加です。その代りにSamara Lubelski、Barry Weisblat、Mick Flowerらが参加しています。何かあったのかな?

 

 

Tropa Macaca / Colonia、Vai E Vem(Cassette) 購入先Art Into Life 購入価格1,907円

ポルトガルのAndré AbelとJoana da Conceiçãoによる男女デュオTropa Macaca。フォークロア、インダストリアル、アンビエントといったサウンドを組み合わせた不思議な世界です。

 

 

ウクライナ・キーウ出身の女性音楽家Valentina Goncharova。電子音楽アヴァンギャルド、チェンバー、宗教音楽、ドローンが組み合わさった東欧の雰囲気満載の世界。1987年から91年に残された音源を纏めた2本のアーカイブ・カセット。

Valentina Goncharova / Recordings 1987-1991, Vol. 1(Cassette) 購入先Meditations 購入価格3,672円

 

Valentina Goncharova / Recordings 1987-1991, Vol. 2(Cassette) 購入先Meditations 購入価格2,671円

 

 

フォークやアンビエントを中心としたアメリカのカセットレーベルGarden Portal。昨年10月リリースの5作品がやっと日本で扱うとところが出てきました。Bandcampで購入するとカセット1本でも送料20,000円以上請求してくるので、国内で購入出来て嬉しいです。Matt LaJoie 以外は初めて聴くアーティスト達なので非常に楽しみ!

Matt LaJoie / Cosmic Commission(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,794円

昨年Matt LaJoie について書いています。


Will Csorba / Neandertalis(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,794円

テキサスのバンジョー奏者Will Csorbaのバンジョーやギターによるインストフォーク。

 

øjeRum / Sølverhvide Skyer(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,794円

様々な活動を行っているデンマークアンビエント作家øjeRumのドローン作品。

 

Magic Tuber Stringband / Wind Machines(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,794円

ノースカロライナのCourtney WernerとEvan Morganによるギターやビオラ、ハルモニュームなどによるアンビエントフォークの世界。

 

Jeremiah M. Carter、Kelby Clark & Sarah Viviana Valdez / Wayfaring Stranger(Cassette) 購入先Tobira Records 購入価格1,794円

Jeremiah M. Carter、Kelby Clark、Sarah Viviana Valdezの3人によるヴォーカルも取り入れたアコースティック・ドローンの世界。

 

 

サックス奏者でSunwatchers、Modern Nature、TheeRepsのメンバーでもあるJeff Tobiasの初ヴォーカル・アルバム!

サックス奏者でありマルチ・インストゥルメンタリストとしてSunwatchers、Modern Nature、TheeRepsなどのメンバーでもあるJeff Tobias。サックスを基本としたアルバムもあるのですが、何と彼のヴォーカルによるソロ・アルバムがリリースされました。

 

Jeff Tobias / Recurring Dream

曲の構想は2017年頃より、シンセサイザー、ベース、クラリネットでデモ音源を自宅にて作っていたとのことです。これらが自身のソロ・アルバムと感じたときに、これまでとは違うスタイルを追求したいと思っていた。その結果、ヴォーカルものに辿り着いたとインタビューに答えています。2019年秋より実際に録音が始まって出来上がったアルバムが “Recurring Dream”です。

 

これまでJeff Tobiasが関わってきたバンドやソロ活動とは異なり、初のヴォーカル・アルバムです。ヴォーカル、シンセサイザー、ギター、サックス、クラリネットなど多くの楽器を1人で行い、ドラムにNick Podgurski、ヴィブラフォンにCory Brackenがサポート・メンバーとして参加。曲によってDave Rude(TheeRep)、Jason Robira(Sunwatchers)ら多くのゲスト・メンバーが加わっています。

 

サウンド的には様々な楽器を駆使してジャズロック、ポストロックといった雰囲気をエクスペリメンタルに掻き鳴らしている。そこにJeff Tobiasのヴォーカルが絡むことで全体を通じてキャッチーでポップに仕上がっています。ゲストメンバーによるバッキングヴォーカルやコーラスのアレンジも巧さを感じる。Jeff Tobiasのシンガーソングライター及びプロデューサーとしての実力を思う存分に発揮した傑作となっています。

 

あと、興味深いのは、Jeff Tobiasが歌う歌詞の世界です。過激に政治的メッセージを掲げているSunwatchersのメンバーでもあります。本作ではお金に対する中毒、日常生活における闇、ベネズエラの内政問題など、周りで起きている様々な事象について彼の独自の視点で捉えています。アルバム冒頭の1曲目 “Our Very Recent Past” の歌詞をアップしておきます。凄い歌詞です!!

本当のファシストが誰なのかがわかった時にはもう遅すぎたのだ。すべてのインクが乾き、すべての列車が駅を離れてから久しい。まだ見ぬ顔を愛でるのは誰なのか?出来たかもしれないことを考えると涙が出ますが、それはいつでも言えることでしょう。私達のごく最近の過去からの何かが警告として機能することができれば、私達にいくつかのビジョンを与えてください。自分の小さな感覚をあきらめて、憎むべき潮を打ち砕くのを手伝ってください。

 

今現在はJeff Tobias Recurring Dream Bandとしてデビューライブを行っているようです。尚、5月にModern Nature、6月にSunwatchersのライブ予定もあるとのこと。特にSunwatchersはそろそろ新作が出ても良いかなと思っているので楽しみです。

 

 

 

Jeff Tobiasがメンバーとして参加しているバンドSunwatchers、Modern Nature、TheeRepsについても個々に書いています。


 

Kreidlerの新作は、クラウトロックの雰囲気を活かしつつ、よりポップへと進化した傑作!

ドイツのデュッセルドルフを拠点とするKreidlerは、1993年にAndreas Reihse、Detlef Weinrich、Stefan Schneider、Thomas Kleinの4人で結成されます。Andreas ReihseとThomas Kleinの2人はKlaus DingerのLa! Neu? のメンバーとして1996年に来日したこともありました。そんなことでクラウトロックの先人が築き上げてきた世界を90年代に受け継ぐバンドとして注目を浴びました。

 

90年代後半には、KreidlerとTo Rococo Rotの両方のメンバーだったStefan SchneiderがTo Rococo Rotに専念したいということでKreidlerを離れます。3人編成に成りながらも当時のポストロックや音響テクノの要素を巧く取り入れてサウンド構築していきます。2010年にAlex Paulickが正式メンバーとして加わり、これまで培ってきたことが一気に開花した傑作 ”Tank” をリリース。再び、Alex Paulick、Andreas Reihse、Detlef Weinrich、Thomas Kleinの4人編成となって、その後もゲスト・ヴォーカルを加えたアルバムや政治的メッセージを掲げたアルバムなど様々な試みを行ってきたバンドです。本日は彼らの2年振りとなる新作 “Spells and Daubs” を紹介します。

 

Kreidler / Spells and Daubs

本作にはバンド結成時からKreidlerサウンドを支えてきたDetlef Weinrichが参加していません。特に脱退したといった情報は無いのですが、2020年にパリに移住したようです。昨年フランスのシンガーでハーディ・ガーディ奏者であるレジェンドEmmanuelle Parreninとコラボ・アルバムをリリースしています。また一緒にKreidlerとして活動して欲しいですが・・・

 

2020年9月より “Spells and Daubs” の制作が始まっています。Alex Paulick(ベース)、Andreas Reihse(エレクトロニクス)、Thomas Klein(ドラム)の3人は、コロナ渦の影響もあって当初はリモートにて曲の構想を作り上げたとのこと。実際にスタジオに入ったのは2021年春になってからのようです。これまでのエレクトロニクスを中心としたサウンドよりもAlex PaulickのベースとThomas Kleinのドラムが繰り出す多彩なリズムセッションを軸に曲全体が作られています。そこにAndreas Reihseのエレクトロニクスがレイヤーのごとくポップに絡んできます。

 

プロデュース、ミックス、サウンドデザインはイギリス人のPeter Walshが行っています。彼はPeter Gabriel、Scott Walker、Pulp、FKA twigsなどのアルバムにも関わってきた人でもあります。すべてインスト曲にして収録候補を15曲から10曲に絞り込み、どの曲も3分から4分台とこれまでのKreidlerに無かったコンパクトな仕上がりになっています。英国ポップ職人Peter Walshの力量がしっかりと反映されています。クラウトロックの雰囲気を活かしつつ、よりポップへと進化した傑作です。

 

 

 

 

Reynols Japan 2022

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「レイノルズ」 の展覧会&ドキュメンタリー映画の上映ツアー!2022年4月5日 東京DOMMUNEより開幕!アルゼンチンのアバンギャルド/ノイズ/サイケデリックバンド「レイノルズ」の神髄ここに!

*dommune.comより

最近になって、このライブフライヤーをReynolsのFacebookで見つけた時は、日本でライブをやるのかと思ってしまった。今回はReynols関連の写真、アート作品の展示会と日本のAcid Mothers Templeとのコラボレーション「Acid Mothers Reynols」に関するドキュメンタリー映画などを上映します。

 

このReynolsの展覧会&ドキュメンタリー映画の上映ツアーは、全国各地で行われますが、私の住んでいる北海道は無いのですよ。もの凄く残念です。だた、その中で4月5日のDommuneでのイベントは、YouTubeで19:00ー21:30に ライブ配信されます。通常の展示会と映画の上映の他に、ゲストとしてReynolsのAnla Courtis、Acid Mothers Templeの田畑満が参加します。これは必見ですね!Anla Courtisは何回か来日したことがあります。彼と飲んだことのある友人によると、寡黙で温和しい人だったと聞いたことがあります。このイベントで少しでもReynolsを知って頂けたなら有難いですね。

Reynolsについて、当ブログではこれまでに2回取り上げています。重複する部分もありますが、再度、バイオグラフィー的なことを書いておきます。Anla Courtis、Miguel Tomasin、Roberto Conlazoによるアルゼンチンの実験的カルトバンドReynols。このバンドのヴォーカルでドラマーのMiguel Tomasinは、ダウン症を患いながら音楽活動を行っています。そんな彼の奇想天外なアイデアを元に1993年に結成されました。サイケ、ノイズ、ローファイ、ドローン、電子音楽サウンドアートまで、すべての要素をごちゃ混ぜにした音楽性を披露してくれました。

 

残念ながら2004年に活動中止になります。Reynolsサウンドを支えていたギタリストAnla Courtisの海外での活動が中心になったことや、Miguel Tomasinのダウン症を考えての結果だそうです。音源リリースが本国よりも日本も含めて世界各国のレーベルからなので、Anla Courtisが海外へ出たことで、より幅広くReynolsの存在を知られることになったのも確かです。

 

2010年代後半よりMiguel Tomasinの体調を考慮しながら活動再開へ進んでいました。その切っ掛けとなったのが2019年リリースのBoxセット「Minecxio Emanations 1993-2018(6CD&1DVD Box)」であり、日本のAcid Mothers Templeとのコラボレーションであります。2020年11月に17年振りとなるスタジオ録音作品となる「Gona Rubian Ranesa」もリリースされています。

 


 

フジロック出演者第1弾発表!

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フジロック出演者第1弾発表になりました。今日は諦めていましたが、まさか夕方になるとはね。Dinosaur Jr.、Altın Gün、Fontaines D.C、あたりが楽しみです。ただ、海外勢が個人的に地味な感じがするけど。まあ、これからですよ。早割は落選したので、これからチケットを購入します。宿の方はもう抑えていますから。



2022年3月のディスカホリック

2月のディスカホリックの時に、ウクライナを拠点に活動しているシンガー・ソング・ライターSvitlana Nianioのレコードを首都キーウのレコード店GRAM Record Storeで購入していたことに触れた。そのレコード店Facebookでの最新投稿によると店舗は大丈夫のようですね。その中で、戦争中にレコードを売る。今はその時じゃないけど、働ける時に働かなければいけないって。 私たちの場合は、むしろ小さなチャンスです。なぜなら、次に何が起こるかわからないからです。だから古き良き時代のように、いくつかのレコードを追加し、特定のアイテムの価格を下げました。もちろん、私たちが受け取ったお金の一部はチャリティーに送ると書かれています。早く通常営業出来るようになって欲しいです。

 

 

2022年3月のディスカホリック(購入履歴)は、カセット3本、レコード1枚、CD1枚の5タイトルでした。いつもよりは少ないです。送料を抑える為にまとめ買いをしたのですが、3月発売予定の新作レコードの生産が遅れているため、まだ送って貰えていないのが有ります。レコードの生産が世界的に追いついていないようです。           

Sunwatchers / Hauslive 1: Sunwatchers 4/13/2019 At Cafe Mustachea(Cassette) 購入先Amazon.co.jp(M plus L) 購入価格2,295円

買いそびれていたSunwatchersの2019年ライブ音源。

昨年Sunwatchersについて書いています。


 

Jeff Tobias / Recurring Dream(Vinyl) 購入先Jeff Tobias Bandcamp 購入価格$35.00 USD(4,220円)

Sunwatchersのメンバーでもあり、Modern Natureのメンバーとしても積極的に活動を行っているJeff Tobiasのソロ・アルバム。

先月Modern Natureについても書いています。


 

Matt Jencik / Matt & Lyra(Cassette) 購入先Trouble In Mind Records Bandcamp 購入価格$25.00USD(3,009円)

一時期Don CaballeroのメンバーでもあったMatt Jencik。様々なバンドを経て2017年より本人名義でドローン、アンビエントを中心に音楽活動を行っています。昨年リリースされた3作目。

 

 

Stefan Christensen / Atlas Rand(Cassette) 購入先Penultimate Press 購入価格£16.00 GBP(2,571円)

Stefan Christensenの新作カセット。紙ケースに紐を括り付けたパッケージが素晴らしいです。これまでとはまた違った彼のギターワークが堪能出来ます。

昨年Stefan Christensenについて書いています。

 

 

Kreidler / Spells & Daubs(CD) 購入先Amazon.co.jp(RarewavesーJp) 購入価格2,207円

ドイツ・デュッセルドルフクラウトロックバンドKreidlerの新作。

 

 

 

MV & EEの2009年から2021年のライブ音源6枚セット!

2000年代初期からフォークからサイケデリック・ロックまで奏でるアメリカ・バーモント州の夫婦Matt ValentineとErika ElderによるMV & EE。彼らのライブ音源6枚セットが昨年末にリリースされました。今回も自身のレーベルChild Of Microtonesからのセルフリリースです。自分達のやりたいように、制約を受けずに、真の意味でのインディーズ道を追求しています。

 

MV & EEの場合、ライブ・アルバムがもの凄く多い。これまでも単品やCDR8枚セット、カセット8本セット、など色々とリリースしている。ライブ毎にすべて録音しており、タイミングさえ合えばいつでもリリース出来る音源を数多く残しているのでしょう。カセットの見直しなどで、その時々の瞬間をフィジカルにしたいと思うインディーズ系アーティストやバンドが、多くなっているのも確かです。彼らはデビュー時からライブ音源をフィジカルで残してきた先駆者的な存在だったかも知れませんね。

 

MV & EE / Green Ark 6 Disc Set(CDR)

MV & EE: GREEN ARK 6 disc set

本作は2009年から2021年の間に行った6本のライブをライブ毎に収録しています。Matt Valentine、Erika Elderの2人に加えてサポートメンバーとしてCoot Moonがベースやドラム、パーカッション、ペダルシンセとして参加。クレジットを確認するとCoot Moon は、Directionとしても記載されているので、Coot Moonが関わったライブ音源を集めたのでしょうね。

 

すべてのライブ音源は、サウンドボード録音でオーディエンス・ノイズが少ないので、最初聴いた時はスタジオ・ライブかと思ってしまった。MV & EEはバンド編成の時はMV & EE with The Bummer Road名義を使っていて、多彩なゲストが多数参加して豪華なサウンドを展開することもある。しかし、今回はシンプルに Matt ValentineとErika Elderの2人が醸し出しサウンドを基本に、サポートのCoot Moonがさりげなく絡んでいます。

 

年代毎に聴き比べてみると、2009年のフォークの佇まいから2021年のサイケデリック・ロックへの様々な変遷を感じます。面白いのは、どのライブもジャムセッション的に即興演奏へとなだれ込んでいるのです。彼らが脚光を浴びる様になった2000年代初期のフリーフォーク・ムーブメントの影響が大きいことを再確認してしまった。フリーフォーク・ムーブメントとは、これまでのフォークにエレクトロニカインプロビゼーション、ノイズなどを取り込でいく展開で、彼らの精神的な原点として脈々と受け継がれています。

 

選曲された曲について書くと、ライブの定番曲である “Flow My Ray” は2010年のアルバムLiberty Roseに収録されいます。原曲は端正なフォークなのですが、ライブではそれぞれアレンジも変更になっていて興味深いです。“Mine All Troubled Blues” は初期の名曲で2004年のアルバムLunar Blues収録で、MV & EE with The Bummer Roadの2006年のアルバムGreen Bluesにも収録しています。”East Mountain Joint(EMJ)” も同じくGreen Bluesに収録されているので、これは聴き比べするしかないですね。後は、個人的に彼らの最高傑作と思っている2020年リリースCap Tripsの収録曲 “Operator”、“Dancin' In The Street” がそれぞれ2013年、2016年に演奏されていたことも驚きでした。

 

このようにMV & EEについて、新たなる発見や再確認をしながらヘビィーに聴き捲っています。

 

1、CHAMPAGNE OF AUD soundboard live in milwaukee, WI 11​/​19​/​09

 

2、WOOK AF soundboard live in brattleboro, VT 01​/​19​/​10

 

3、INNER PEACE soundboard live in hamburg, GERMANY 11​/​26​/​13

 

4、PAY ONE PRICE soundboard live in becket, MA 08​/​01​/​15

 

5、BURN OUT soundboard live in brattleboro, VT 12​/​02​/​16

 

6、MISSUS COOT pristine aud reel live in north adams, MA 10​/​02​/​21

 

アルバム収録のライブ映像を探しましたが、見つかりませんでした。代わりに2010年のライブ映像と2014年のNelsonville Music Festivalの映像をアップしておきます。

 

Green Ark 6 Disc Setはここから購入することが出来ます。


昨年MV & EEのMatt Valentineのソロアルバムについて書いています。