ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

フィンランドの前衛音楽家Pekka Airaksinenとヴォーカリストでマルチ奏者Ka Bairdとのコラボレーション作 "Hungry Shells"

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Pekka Airaksinen(1945ー2019)は60年代後半に伝説バンドThe Spermで音楽活動を始めます。名前のごとく猥雑なライブ・パフォーマンスで、メンバーが逮捕されるなどで1970年に解散してしまう。その後は、ジャズ、アンビエントニューエイジインプロビゼーションなどを中心に前衛音楽家として活動していました。そんな彼とコラボレーションを行っていたのが、NYを拠点に活動しているヴォーカリストでマルチ奏者Ka Bairdです。レコード・オンリーで2021年10月に "Hungry Shells" がリリースされました。

 

Ka Baird & Pekka Airaksinen / Hungry Shells

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本作はリリース元Rvng Intl.が仕掛ける世代を超えたコラボレーション・シリーズ FRKWYSの第17弾としてリリースされました。Pekka Airaksinenの亡くなる半年前2018年秋に制作されています。このコラボレーションはオランダのユトレヒトで毎年行われている音楽フェスLe Guess Who? 2018 が切っ掛けとなっています。フェスで演奏する曲を現地ユトレヒトで録音してそのままライブを行ったようです。

 

Ka Bairdのエクセントリックなヴォーカルやリーディング・ヴォイスにPekka Airaksinenのスピリチュアルなサウンドが鳴り響く。2人の個性が真っ向からぶつかり合って怪奇でシュールな世界を構築しています。歌詞は仏教徒であるPekka Airaksinenの瞑想中に神から授かった仏教のたとえ話をモチーフにしているとのこと。本人自らリーディングしている曲 ”Grey Body” もあってより神秘で幻想的に仕上がっています。一方で、2人がハーモニーする曲 "Roseclouds" ではポップでモダンな雰囲気をも感じられる。両者の魅力を巧く融合した作品となっています。

 

亡くなる少し前に、こんな音源を残していたとはね。昔はNWWリストに掲載されたアーティストだけに前衛音楽マニアには高い評価があったと思う。この作品で再評価されて欲しい。もっと様々な音楽リスナーにも聴いて欲しい1枚です。

 

音楽フェスLe Guess Who? 2018 でのライブ映像です。Ka Bairdのライブ・パフォーマンスが凄い!

 

Pekka Airaksinenについては、2015年にリリースされたWorks 1968 – 1976(5Vinyl BOX)を取り上げています。


 

スウェーデンのピアニストAlex Zethsonが奏でる室内楽アンサンブルによるガムランやクラウトロックの世界とは

スウェーデンのピアニストでコンポーザーでもあるAlex Zethson。Trondheim Jazz Orchestra、Fire! Orchestra、Angles 9などのメンバーであり、レーベルThanatosis Produktionも主宰しながら様々な活動を行っている。彼を中心に実験的ジャズ、現代音楽、民族音楽、ロックなど様々な形態の即興音楽シーンで活躍する13人のミュージシャンで構成されたAlex Zethson Ensembleの2021年にリリースされた1st作に魅了されています。

 

Alex Zethson Ensemble / Some Of Them Were Never Unprepared

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ガムランクラウトロック、 Tony ConradやArnold Dreyblattに影響を受けて作曲したとAlex Zethsonは語っています。ピアノ、ギター、チェロ、コントラバス、ヴァイオリン、シェイカー、ドラム、ゴングを駆使した ”Some Of Them Were Never Unprepared” のPart 1、Part 2による2曲を収録。

 

Part 1はガムランの雰囲気を醸し出すようにトン、トン、トン、といったパーカッシブでクールなミニマルミュージックを展開。ストイックな前半から後半の徐々にばらける感じがドローン的で刺激的なアンサンブルです。Arnold Dreyblattの ”Propellers In Love” に通じる部分もあって、影響を受けたことに納得。

 

Part 2は緩やかで自由奔放に音を掻き鳴らしている感じ。コントラバスの重低音をベースに各パートが自己主張をしながら一体となって攻め込んできます。Tony Conrad & Faustの “Outside The Dream Syndicate” を思わせるといったレビューも有ったが、まさにクラウトロック室内楽アンサンブルで行うとこうなるのでしょう。臨場感溢れる素晴らしい楽曲です。

アルバム・ジャケットはスウェーデン国立科学技術博物館が所有する撮影者不明のファウンド・フォトを使用とのこと。このジャケットが気になって、CDを購入することになってしまったのです。リリースは自身のレーベルThanatosis ProduktionとNYのレーベルRelative Pitch Recordsの共同リリースとなっています。

 

Alex Zethson Ensembleのラインナップです。

alex zethson ensemble — thanatosis

Torbjörn Zetterberg,、Contrabass
Elsa Bergman、Contrabass
Leo Svensson、Cello
My Hellgren、Cello
Anna Lindal、Violin & Contact Mic
Josefin Runsteen、Violin
Giannis Arapis、Guitar
Anton Toorell、Guitar
Kasper Agnas、Guitar
Andreas Hiroui Larsson、Drums & Gongs
Niclas Lindström、Shaker
Karin Ingves、Piano
Alex Zethson、Piano

 

 

2016年に設立されたAlex Zethsonが主宰しているレーベルThanatosis ProduktionのBandcampです。ミニマルミュージックやエクスペリメンタルミュージックを中心にリリースしています。多くのアルバムでエグゼクティブ・プロデューサーとしてAlex Zethsonが参加しています。


 

 

2022年2月のディスカホリック

毎月のディスカホリックではフィジカルとして購入した音源を備忘録として書いています。それと合せて音源紹介以外の事も書いていますが、今月は色々と書きたいことが多くて、いざ、書き始めると収拾が付かなくなってしまった。なので、ツイッターの様に取り留めもなく書き込んでます。

 

 

フジロックに向けて宿を確保しました。まだ出演者の発表もチケットの早割も無いけどね。20年前、会場でインタビューを受けた時に「こんなオヤジで申し訳ないです」と答えた記憶があるが、いまや還暦過ぎてからのフジロックですよ。何年か前に60過ぎてからのフジロックと言うのがキーワードになったことも有りました。


 

障害者の権利擁護に貢献した人物へ賞を贈るヘンリー・ヴィスカルディ・アチーブメント・アワードをアルゼンチンの実験的カルトバンドReynolsが受賞!この記事の中で私が書いたReynolsの記事かシェアされています。

 

 

ウクライナと言えば、昨年ウクライナを拠点に活動しているシンガー・ソング・ライターSvitlana Nianioについて書いています。彼女のレコードを首都キエフのレコード店GRAM Record Storeより購入したこともあった。早く平和的に解決して欲しい!


 

さいたま市のCDショップmore recordsのnoto記事です。フィジカル・メディアに拘る私に取ってもの凄く身につまされる思いです。


 

今月はCD6作、カセット3作、レコード2作の合計11作品の購入実績となりました。いつもの様にしっかりと聴けてないものが多いです。

Trumans Water / Chèvre Au Lait(CD) 購入先Tenzenmen Bandcamp 購入価格$31.00 AUD(2,719円)

90年代初期から活動しているアメリカのノイズ、エクスペリメンタル系オルタナ・バンドTrumans Water。彼らの2020年カセット・リリースの新作が、CDでリイシュー。

 

 

Trumans Water / Action Ornaments(Cassette) 購入先Improved Sequence Bandcamp 購入価格€12.00 EUR(1,644)

Trumans Waterの1996年作 Action Ornamentsが、カセットでリイシュー。

 

 

The Telescopes / Live At Corsica Studios & Vinyl Factory Session(Cassette) 購入先Improved Sequence Bandcamp 購入価格€12.00 EUR(1,644)

The Telescopesの2011年のライブ音源と2019年セッション録音をカップリングした新作カセット。

昨年リリースの ”Songs Of Love And Revolution” は2021年間ベストNo.2に選んでいます。

 

 

J Spaceman And J Coxon / Play The Red Krayola Live 1967(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格3,380円

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Spiritualizedの2人、J. SpacemanことJason Pierceと John Coxon によるデュオ作がリリース。2019年10月にNYで行われたArt & Language展のために制作された音源です。何とアルバムタイトルが “Play The Red Krayola Live 1967” です。

 

 

The Red Crayola / Live 1967(CD) 購入先Diskunion Net 購入価格1,359円

The Red Crayola本家本元のライブ音源。

前回の記事で取り上げています。


 

Animal Collective / Time Skiffs(CD) 購入先Diskunion Net 購入価格1,843円

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Animal Collective、22年の新作。

 

 

Alex Zethson Ensemble / Some Of Them Were Never Unprepared(CD) 購入先Diskunion Net 購入価格1,848円

スウェーデンのピアニストでレーベルthanatosis produktionを主宰しながら様々な活動を行っているAlex Zethson。13人のミュージシャンで構成された集団Alex Zethson Ensembleの1st作。

 

 

John Duncan & T​.​R. Kirstein(CD) 購入先Moving Furniture Records Bandcamp 購入価格€17.30 EUR(2,326円)

ノイズ、ドローン、エクスペリメンタルからヴォーカル物まで幅広く活動しているLAFMS系のJohn DuncanとデンマークサウンドアーティストT.R. Kirsteinとのコラボレーション作。

 

 

Enchante / Mind In Camden 2(Cassette) 購入先Jolly Discs Bandcamp 購入価格£8.00 GBP(1,294円)

レーベルJolly Discsを主宰しながら様々な活動を行っているGuy Gormley。彼のソロ名義であるEnchanteの2019年にカセットリリースされたアルバム。

 

 

RAP / Live Inside(CD) 購入先Jolly Discs Bandcamp 購入価格£8.00 GBP(1,294円)

Guy GormleyとThomas BushによるユニットRAPによる新作ライブ音源。

Guy Gormleyについては、David GrayとのユニットSpecial Occasionを過去に取り上げています。


 

Wet Tuna / Eau'd To A Fake Bookie Vol. 1 & 2(2Vinyl) 購入先Meditations 購入価格5,143円

夫婦デュオMV & EEのMatt Valentineとマルチ奏者であるPG SixことPat Gublerによるコラボ・ユニットWet Tuna。本作はPentangle、Michael Hurley、Jimmy Cliffなどの楽曲を集めたカヴァー・アルバム。

 

 

 

Play The Red Krayola Live 1967

Art & Language: Letters to The Jackson Pollock Bar in the Style of The Red Krayola

Spiritualizedの2人、J. SpacemanことJason Pierceと John Coxon によるデュオ・アルバムがリリース。2019年10月にNYで行われたArt & Language展のために制作された音源が、 John CoxonのレーベルTreaderよりレコード・オンリーでリリースされました。何とアルバムタイトルが “Play The Red Krayola Live 1967” となっています。

 

コンセプチュアル・アートの集団として1969年に結成されたArt & Languageは、The Red Krayolaとのコラボレーションを通じて音楽とアートのコンセプトを訴えてきました。80年代初期からThe Red Krayola with Art & Languageとして、これまでに6作リリースしています。Art & LanguageとってThe Red Krayolaは外せない存在であります。ただ、今回のArt & Language展にThe Red KrayolaのMayo Thompsonは参加していません。ライブ映像は流れていますが、実際にライブを行ったのはJason Pierceと John Coxonの2人だけです。2人はThe Red Krayolaの代役なのか?ちょっと気になりますね。

 

J. Spaceman、John Coxon / Play The Red Krayola Live 1967

本作は1967年にAngry Arts Festivalで行われたThe Red Crayolaのライブセットをカヴァーするという企画です。当時はKの KrayolaではなくCのCrayolaの表記でした。初期のThe Red CrayolaはKよりもアヴァンギャルドでカオティックなフリーサイケ・サウンドを奏でていました。ライブになるとさらに即興な要素が加わって過激で再現不可能なパフォーマンスを行っていた。このAngry Arts Festivalでの音源は “Live 1967” として1998年にDrag CityよりCDでリリースされている。Jason Pierceと John Coxonはオリジナル音源を個別に聴き、2人の思い描くThe Red Krayola Live1967を作り上げてしまったのです。

 

The Red Crayolaのオリジナル・ライブは午後に1回、夕方に2回行われました。1セット1曲の3曲による構成です。ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルの即興演奏にフェクターによる電子的なノイズを絡めてソリッドでタイトに鳴り響かせています。それに対して、Jason Pierceと John Coxonの2人は、2本のギターを中心にして、カリンバ、ミュージック・ボックス、ハーモニカ、メトロノームを駆使してジャンクでノイジーに攻め込んできます。こちらも3曲収録ですが、オリジナルとは似ても似つかない展開です。でも、これはカヴァーなのです。50年以上前の曲を現代に蘇させようとした2人のメッセージが込められていると思う。如何にしてフリークアウトをさせて楽しませるかと言うことに関しては一緒です。Mayo Thompsonも喜んでいるに違いない。

 

尚、アルバムジャケットはArt & Languageによる2018年作品とのことです。

 

 

 

The Red Crayolaによる1967年Angry Arts Festivalのライブ音源です。1998年にDrag CityからCDでリリースされた時は、3曲とも収録されていますが、短めに編集されている。その代りに、同じく1967年Berkeley Folk Music Festivalのライブ音源が収録された2枚組CDとなっています。

 

 

Art & Language展のダイジェスト映像です。Art & Languageの創設メンバーであるMichael BaldwinとMel Ramsdenを中心にディスカッションなどが行われています。54分ぐらいからJason Pierceと John Coxonのライブ映像も観ることが出来ます。

 

 

 

アヴァンギャルドからオルタナまで飲み込んでしまう厄介なミュージシャンEugene Chadbourneに嵌まっています!

70年代からジャズ、カントリー、フォーク、ブルース、ロックなど自由奔放にジャンルの垣根をぶっ壊しながら独自の音楽を構築してきたアメリカのギタリストEugene Chadbourne。これまでにDerek Bailey、Han Bennink、John Zorn、Jimmy Carl Black、Sun City Girls、灰野敬二などあらゆる人とのコラボレーションやバンド活動も含めて、現在も幅広く活動を行っている。90年代にCDで1、2枚は持っていたと思うが、カセットやCDRを中心にセルフ・リリースも多いため、フォローしきれていなかった。

 

今回、2018年にリリースされたSunwatchersとのコラボレーション・アルバム “3 Characters” をBandcampで見つけて嵌まってしまった。フィジカルとして2枚組レコードとしてリリースされていたが、すでに完売となっている。Discogsや海外レコードショップでも在庫をもっている所は見つからなかった。Sunwatchersの12インチもリリースしているAmish Recordsのリリースで、何回か直接購入したことがあるので、もっと早くに気づくべきだったと思うが・・

 

このアルバムはMinutemen、Doug Sahm、Henry Flyntのカヴァー曲で彼ら3人に対する思いが詰まった作品です。ノイジーオルタナ的なSunwatchersのサウンドにEugene Chadbourneのヴォーカル、ギター、バンジョーが絡む展開です。MinutemenのMike Wattも参加しています。是非ともリイシューして欲しいです!!

Sunwatchers and Eugene Chadbourne / 3 Characters

 

そんな事で、再びEugene Chadbourneに興味を持ってしまい、フィジカルで4タイトルも購入してしまった。最近の動向を伺えるものから70年代の音源まで、彼の幅広い音楽性を感じられる素晴らしい4作品です。

Eugene Chadbourne、Jim McHugh / Bad Scene(Vinyl)

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2021年にリリースされたSunwatchers のギタリストJim McHughとのコラボレーションによる ”Bad Scene” 。Sunwatchersとの ”3 Characters” で親交を深めていたJim McHughがEugene Chadbourne宅を訪れてのホームレコーディングスです。Eugene Chadbourneのヴォーカル、ギター、バンジョーとJim McHughのギターを中心として、曲によってドラム、ヴィオラが絡んでくる展開です。プロデュースやミックスなどはJim McHughが行っています。

 

Eugene Chadbourneの自作曲と2人による共作曲に加えて、Alvin Lee(Ten Years After)のBad Scene、Lowell GeorgeLittle Feat)のWillin'、Woody GuthrieのHang Knot、Nick DrakeのHangin On A Starのカヴァー曲を含めた全9曲を収録。パンキッシュな乗りからローファイなフォークまで、ネジが2、3本緩んだルーズな雰囲気がもの凄く心地良い!

 

レジェンドEugene Chadbourneと新進気鋭のギタリストJim McHughとの世代を超えたコラボレーション。両者の魅力を巧く纏めた傑作です。

 

 

Eugene Chadbourne / Live At Grand Guignol(Vinyl)

2020年にリリースされた本作は、2010年4月16日にフランス・リオンの本屋さんGrand Guignolで行ったバンジョーを駆使した弾き語りライブ音源です。ギターのごとくコードをガチャガチャと掻き鳴らし、ブルーグラスス的なフィンガーピッキングも披露して、時にはバンジョーを叩いてリズムを刻むなど何でもアリアリの演奏。そこにEugene Chadbourneの熱いヴォーカルが絡む世界です。フォーク、カントリー、ブルースの雰囲気を醸し出しながらもパンキッシュに聞えさせてしまうところに彼の魅了を感じてしまった。

 

リリース元はライブの行われたフランス・リオンのレーベルOuch! Recordsです。プロデューサーはこのレーベルから多くの作品をリリースしているフランス人サックス奏者Lionel Martinが担当し、アートワークやデザイン担当のDamien Grange、Florent Decornetの2人もこのレーベルを含めてフランス中心に活動しているようです。特にこのアルバムジャケットもの凄くいいですね。レーベルとしてのEugene Chadbourneに対するリスペクトを感じます。

 

 

Eugene Chadbourne With Duck Baker And Randy Hutton / The Guitar Trio In Calgary 1977(CD) 

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2019年リリースのEugene ChadbourneがDuck BakerとRandy Huttonと 70年代に組んでいたThe Guitar Trioの1977年2月27日の未発表ライブ音源とスタジオ音源を収録したアーカイブ盤。3人のギタリストがフリー・ジャズやフリー・インプロヴィゼーションからの影響を受けてアヴァンギャルドに掻き鳴らされています。The Guitar Trioの最年少メンバーであるにも関わらず、彼は ライブやレコーディングを仕切っていたとされています。この頃より頭角を現していたのでしょうね。


 

Eugene Chadbourne / The Lost Eddie Chatterbox Session(CD)

EUGENE CHADBOURNE / ユージン・チャドボーン / Lost Eddie Chatterbox Session

2017年にリイシューされた音源です。本作も1977年に録音されて自主制作カセットとして販売していたとのこと。ギターソロ演奏でジャズの巨匠たちの楽曲Thelonious Monkが12曲、Charlie Parkerが3曲、John Coltraneが1曲、Ornette Colemanが1曲をカヴァー、そして自作曲を詰め込んだ全30曲を収録。彼の変態性を感じられるギターワーク満載の1枚です。改めて厄介なミュージシャンであることを再確認しました。

 

 

アヴァンギャルドからオルタナまで飲み込んでしまう厄介なミュージシャンEugene Chadbourne。彼の膨大なアルバムの一部に嵌まってしまった。他にも聴くべく重要なアルバムが有るじゃないか?と言われそうだが、深みに嵌まって収拾付かなくなる気もするけどね(笑)

 

Eugene Chadbourneに嵌まる切っ掛けとなったSunwatchersについて、昨年取り上げています。アップしておきます。


 

ロンドンを拠点とするJack Cooper率いるオルタナティブバンドModern Nature。フリーミュージックの巨匠たちを迎えた新作Island Of Noiseが素晴らしい!

Stream Modern Nature's wonderful new album 'Island of Noise' (and watch its  accompanying film)

ロンドンを拠点とするJack Cooper(Ultimate Painting、Mazes)率いるオルタナティブバンドModern Nature。2019年のデビュー時はWill Young (Beak>)、Aaron Neveu (Woods、Herbcraft)、Jeff Tobias (Sunwatchers)、Rupert Gilletの5人組でスタートします。そうそうたるメンバーが集まっていますが、元々Jack Cooperのソロ・プロジェクト的な感じで始まった為、メンバーは流動的でした。デビュー時、Radiohead辺りが引き合いに出されていたバンドでもありました。現在はJack Cooper、Jeff Tobiasの他にJim Wallisが参加して、この3人が中心となって多彩なゲストを迎えながら音楽活動を行っている。これまでにデビューアルバム “How To Live” の他、ライブカセット音源3本、ミニアルバム ”Annual” 、シングル&EP盤5枚と、この短期間で多くの作品をリリース。今回は昨年12月にリリースされたセカンド・アルバム “Island Of Noise” を紹介します。

 

Modern Nature / Island Of Noise

Island Of Noise — Modern Nature

本作はレギュラー盤とモノラルにミックスされたインストヴァージョンIsland Of Silenceの2枚組レコードと32ベージのブックレット付きのBoxセット仕様です。初回限定盤で、すでに完売となっています。通常のレギュラー盤は3月にリリース予定です。

 

Jack Cooperのヴォーカル&ギターにJeff Tobiasのアルトサックス、バスクラリネット、Jim Wallisのドラムを軸にして、Evan Parkerのソプラノサックス、John Edwardsのダブルベース、Alexander Hawkinsのピアノ、Alison CottonのビオラLily Carassikのトランペット、デビューアルバムに引き続きRupert Gilletがチェロで復帰。ベテランから新進気鋭の総勢9名の凄いメンバーが集まりました。これまでになく管弦楽器を駆使して、アルバムのメインテーマの1つである「混沌の中に秩序を見出す」に沿って音の構築を行っています。Evan ParkerやJohn Edwardsといったイギリスのフリーミュージックの巨匠たちが彩る自由で広大な空間に、Jack Cooperの本来持っているアヴァン・フォーキーな雰囲気を巧く組み合わせた世界です。

 

各メンバーが自由奔放に生き生きと力強くしっかりとしたサウンドを展開しています。だからこそ、インストヴァージョン ”Island Of Silence” もあるのでしょう。Island Of Silenceでは、Jack Cooperのヴォーカルをオルガンやギターに変更しています。単なるカラオケではなく、ジャジーでクラシカルなポストロックとして充分に通用する内容です。本編である “Island Of Noise” は、そこにJack Cooperの淡々としたストイックなヴォーカルが絡んできます。このことで、より想像力に富んだバリエーションが何層にも重なって溢れてくる。テーマである「混沌の中に秩序を見出す」ことやアルバムジャケット から伝わってくる動植物の息づかいなど、様々なイメージが浮かび上がってきます。参加したミュージシャンの個性を最大限に生かし切って作り上げた“Island Of Noise”。Jack Cooperの新たなる魅力と可能性を感じさせる素晴らしいアルバムです。

 

 

付属のブックレットも凄いです。Jack Cooperが親近感を感じる10人のアーティストに1曲ごとに曲に対するインスピレーションを描いて貰った作品、それらをブックレットとして纏め上げています。このアルバムに参加してるEvan Parker、Alexander Hawkins、それ以外として日本人イラストレーターEna Kato、 スコットランドの詩人Robin Robertson、菌類学者Merlin Sheldrake、作家Robert King、ミュージシャンEugene Chadbourneなどが、イラスト、ポエム、楽譜、論文などを寄与しています。

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アルバムの曲すべてを網羅したプロモート用の動画も製作されました。

 

 

2022年1月のディスカホリック

毎度、フィジカルメディアに拘っているのですが、そろそろ部屋で保管する場所も限界に来ています。家の中でこんな状況ですから、外の物置にCDの入った段ボール箱が30箱、20年近く放置されています。紙ジャケCDはボロボロになっているでしょうね。毎年どうにかしなくてはと思いつつ、どうにもなっていません。4年前に専門店に買い取って貰ったことがあるのですが、200枚近く売って2万円でした。1枚100円?いや、半分以上価格が付かなくて、そのまま処分して貰いました。価格が付かないことに落胆して、だったらもう売らないと思った。中々物を捨てることが出来ない性分なんです。

 

今後はデジタルも視野に入れていかないとね。PCにデジタル音源は色々とあります。スマホにも一部取り込んでいますが、ヘッドホンやイヤホンで聴くことに抵抗感があります。そんなことで、PCとオーディオ・アンプを繋いでスピーカーから聴こうとも考えています。アンプは20年前のオンキヨー製品でレコードプレーヤー、CDデッキ、カセットデッキを繋いでいます。入力端子としてMD、Turen、DVDしか残っていません。以前、イヤホン用のホータブルカセットプレイヤーを繋いだことがありますが、殆ど聴くに耐えない状況だったので、カセットデッキを購入した経緯があります。はたしてデジタルはどうなんだろうと思っています。PCとアンプを繋ぐケーブルもピンからキリまであって何を選んでいいのやら?さっぱり分りません。このまま、レコード、CD、カセットの山に埋もれて生活するのも有りですけどね(笑)

 

 

2022年1月のディスカホリックはレコードが5枚、CDが5枚、カセットが4本の合計14タイトルの購入実績でした。バランスよく購入していますね。まだ、しっかりと聴けていないのが殆どですが。

Larsen / A Chronicle (a soundtrack to Jacopo Benassi's Meiwo) (Book + Cassette) 購入先Witty Books 購入価格€47.00 EUR(6,481円)

ビジュアル・アーティストJacopo Benassiの本とイタリアのバンドLarsenのカセット音源によるコラボレーション企画。

 

 

Richard Youngs / Iker(CD) 購入先Amazon.co.jp(Rarewaves-Jp) 購入価格1,621円

21年に録音されたギターによるサウンドスケープ作品。

 

 

Modern Nature / Island of Noise(2Vinyl) 購入先WOW HD 購入価格7,507円

Jack Cooper 率いるModern Natureの新作。最初にレギュラー盤とインストでモノラル録音のヴァージョンとの2LPセット企画にて販売。レギュラー盤は、3月にリリース予定です。

 

 

Asa Tone / Live at New Forms(Cassette) 購入先Meditations 購入価格2,313円

ジャカルタ生まれの Melati Malayと、NYを拠点とする Tristan Arp と Kaazi から成る音楽プロジェクト Asa Toneのセカンド・アルバム。

 

 

Sam Gendel / AE-30(Cassette) 購入先Meditations 購入価格2,313円

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今や大人気のサックス奏者になってしまったSam Gendel。Rolandの電子管楽器AE-30を用いて演奏する企画から生まれた最新作。

 


Sam Wilkes / One Theme & Subsequent Improvisation(Cassette) 購入先Meditations 購入価格2,040円

Sam Wilkes/One Theme & Subsequent Improvisation<限定盤>

Sam Gendelと共に要注目しておきたいベーシストSam Wilkesの新作。

 

 

Oren Ambarchi / Live Hubris、Black(Vinyl) 購入先Black Truffle Bandcamp 購入価格€36.40 EUR(4,967円)

石橋英子ジム・オルークら豪華メンツ参加した2019年のCAFÉ OTOでのライブ音源。

 

 

Eugene Chadbourne、Jim McHugh / Bad Scene(Vinyl) 購入先Diskunion Net 購入価格2,288円

70年代からジャズ、フォークなどジャンルの垣根を取っ払って様々な活動を行っている奇才Eugene ChadbourneとSunwatchersのギタリストJim McHughの昨年リリースされたコラボレーション・アルバム。このアルバムでEugene Chadbourneに嵌まってしまい、色々と買ってしまった。

 

 

Eugene Chadbourne / Live At Grand Guignol(Vinyl) 購入先Diskunion Net 購入価格2,464円

2010年に本屋さんで行ったライブ音源。バンジョーを駆使してパンキッシュに弾き語りです。

 

 

Eugene Chadbourne With Duck Baker And Randy Hutton / The Guitar Trio In Calgary 1977(CD) 購入先Diskunion Net 購入価格1,694円

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1977年に録音されたEugene Chadbourne、Duck Baker 、Randy Huttonの3人によるギターインプロビゼーションの世界。


 

Eugene Chadbourne / The Lost Eddie Chatterbox Session(CD) 購入先Diskunion Net 購入価格1,700円

1977年のクリスマスに録音されたThelonious MonkCharlie ParkerJohn ColtraneOrnette Colemanといったジャズの巨匠達の曲と自作曲をギターソロで演奏した音源。


 

Ka Baird & Pekka Airaksinen / Hungry Shells(Vinyl) 購入先Diskunion Net 購入価格3,300円

KA BAIRD & PEKKA AIRAKSINEN / カー・ベアード ・アンド・ペッカ・アイラクシネン / FRKWYS VOL. 17: HUNGRY SHELLS (VINYL)

エレクトロニクスを駆使してアヴァンギャルドな音楽を奏でるシンガーKa Bairdとフィンランドのノイズ、アヴァンギャルドの音楽家 Pekka Airaksinen(1945-2019)によるコラボレーション。 Pekka Airaksinenの亡くなる半年前に制作された最後のアルバム。

 

 

Roy Montgomery / That Best Forgotten Work(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格689円

ニュージーランドのギタリストRoy Montgomeryの音楽活動40周年を記念して4枚のアルバムをリリース。その中の1枚で、彼のヴォーカルをフィーチャーしたアルバム。

 

 

Hurry、Eskimo / Heippa(CD) 購入先Hurry、Eskimo Bandcamp 購入価格50.00 PLN(1,506円)

2017年に結成されたポーランドの3人組ポストロックHurry、Eskimoの最新ミニ・アルバム。