ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

2012.11.29 Gong@原宿アストロホール

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今回の来日メンバーには、Steve HillageやMiquette GiraudyのSystem7の2人は参加していないし、居るだけで存在感を示せるMike Howlettも居ない。70年代黄金期のメンバーは、Daevid AllenとGilli Smythの2人だけである。その2人を盛り上げようとして集まったのは、Daevid AllenとGilli Smythの愛息子Orlando Allen(ドラムス)、Gong Global Familyとして2007年のブラジル・ツアーに参加したInvisible Opera Company of Tibet(Tropical Version Brazil)のFabio Golfetti(ギター)、90年代から00年代のGongを支えて来たTheo TravisとCipherというユニットを組んでいるDave Sturt(ベース)、そして、Theo Travisに代わってIan East(フルート、サックス)らが、新たなるメンバーとして参加している。

 

メンバー的には、キーボードも居ないし、前回のフジロック2009に比べると、ちょっとどうのかなあ?と思う。ただ、今回のバンドで、鍵を握るのは、息子のOrlando Allenだと私は思っている。彼は、単なるドラマーではなく、マルチ・アーティストとして、サウンドデザインも出来る人物なのである。そんな不安と期待の入り混じったライブに行ってきたのであります。

 

原宿アストロホールには、2001年にUSインディーズバンドLowを観に行った以来なので、11年振りということになる。指定席で最前列という最高のシチュエーションである。ライブは定刻通りに19:30に、サポートバンドもなくスタートした。最初はメンバー全員がステージ上で円陣を組んで、祈りのような声を上げていた。Gong Familyとしての堅い絆を表す感じである。ドラムのOrlando Allen以外は、横一線に右からFabio Golfetti、Daevid Allen、Gilli Smyth、Dave Sturt、Ian Eastとなってライブが開始された。

 

74歳になるDaevid Allenは、非常に元気です。最初は、その元気さにオーディエンスが、付いていけなかった感じであったが、徐々にDaevid Allenのパフォーマンスに引き込まれていくのであった。定番となっている被りものなど、サービス精神旺盛なことには、毎度のことながら笑ってしまうし、感動もしてしまう。彼にとっては、伝説とか奇跡といった言葉は、必要ありませんね。まだまだ、現役としてのエネルギーとパワーを兼ね備えていることは凄い。

 

それに比べて、ちょっと気になるのが、79歳になるGilli Smythであります。今回のフランス・ツアー中に足を骨折することもあったようです。そんな状況の中で、よくぞ、日本に来てくれたと言う思いです。常にステージ上に居るのは、厳しいし、往年のようなスペース・ウィスパー・ヴォイスは、無理なのかもしれません。しかし、Gilli SmythはGongにとっての母なる存在であることが良く分かるライブなのでありました。物販では、最近リリースされたGilli Smythのソロ・アルバム「Paradise」が、売っていました。息子Orlando Allenのプロディースで、Gilli Smythの魅力を引き出した良いアルバムに仕上がっています。

 

ライブの方は、やはりOrlando AllenとDave Sturtのリズム隊が、ラウドで引き締まった音に纏めています。そんなリズム隊に合せた様にIan Eastのフルート、サックスが、攻撃的に鳴り響く。そして、地味ながらもGongサウンドを知り尽くしたFabio Golfettiのギターがミニマルティックに宇宙を描がいていくのである。そのサウンドは、Steve Hillageが主導していたフジロック2009の時とは、明かに違って聴こえた。

 

演奏された曲は、毎度お馴染みの曲から、2009年リリースの「2032」からのEscape Control Deleteなども演奏された。後半には、河端一が、特別参加してAcid Mothers Gongの「Zeroina}を演奏し、そして、1977年にパンクバンドHere&Nowと合体して作ったPlanet Gongの「Opium For The People」を演奏するなど、今までとは、違う展開を示してくれた。Steve Hillageでは絶対にやらないところが非常に面白い。アンコールには、これぞGongの代表曲「You Can’t Kill Me」で、2時間に渡るライブを終えたのであった。

 

今回の新生Gong、メンバー的には地味な感じではあるが、Daevid Allenを中心に良く纏まっていたと思う。出来れば、このメンバーで新作を作って欲しいと思わせる素晴らしいライブなのでありました。

      

  セットリスト

 Ⅰ、 One By One/757(新曲?)
 2.Radio Gnome Invisible
 3.Zero the Hero and the Witch's Spell
 4.I'm Your Pussy
 5.Escape Control Delete
 6.Tropical Fish ~ Selene
 7.Flute(Ian Eastソロ)~ Oily Way ~ Outer Temple ~ Inner Temple
 8.Master Builder
 9.I've Been Stoned Before
10.Zeroina(Acid Mothers Gongの曲)
11.Opium For The People (Planet Gongの曲)
12.Dynamite ~ I'm Your Animal
(アンコール)
13.You Can't Kill Me

 

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