ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Arnold Dreyblattの新作 “Resolve” は、これまでのアルバムのなかで、よりロック的な魅力が満載の傑作!

エクスペリメンタルでアヴァンギャルドな音楽を追求しているニューヨーク出身の作曲家Arnold Dreyblatt。Pauline Oliveros、La Monte Young、Alvin Lucierといった巨匠の下で音楽を学んでおり、1984年よりベルリンを拠点に活動しています。待望の新作がリリースされたので紹介します。この数年はアーカイブ音源やコンピレーション音源のリリースが多く、新作となると2013年のフォークバンドMegafaunとのコラボレーション “Appalachian Excitation” 以来の10年振りとなります。興味深いのはThe Orchestra Of Excited Strings名義となっていることです。Arnold Dreyblattの曲を演奏する目的で1979年に結成します。2002年の ”The Adding Machine“ まで、多くのアルバムにこの名義が使われていました。                             

 

Arnold Dreyblatt、The Orchestra Of Excited Strings / Resolve

今回のThe Orchestra Of Excited Stringsのメンバーは、ドラム、コンピューターのKonrad Sprenger、ギターのJoachim SchützとOren Ambarchi、そしてコントラバスのArnold Dreyblattという4人によるラインナップです。Konrad SprengerとJoachim Schützの2人はドイツ出身で2009年頃よりArnold Dreyblattのアルバム制作のサポートを行っていた。その流れで2010年代のライブ時に、この2人が中心となってThe Orchestra Of Excited Stringsが復活したのであります。

 

近年のアーカイブ音源、コンピレーション音源については、2013年 “Choice” はKonrad Sprengerの主宰するレーベルChoose Recordsからのリリース。そして、2015年 ”Second Selection“ と 2020年 ”Star Trap“ は、Oren Ambarchiの主宰するレーベルBlack Truffleよりリリースしていました。Arnold Dreyblattのことをより深く理解している最強の助っ人がいたからこそ、新作への方向へと向かったのは間違いないですね。

本作はシカゴのレーベルDrag Cityよりレコード・オンリーでリリースされました。A面にContainer、Shuffle Effect、Flight Pathの3曲、B面に17分を越えるAuditoriaの1曲を収録。A面B面ごとに紹介します。

 

A面1曲目 Containerでは、Arnold Dreyblattのコントラバスの弦を弓で引っ叩くような感じで音を出し、ドラムとギターがそれに合わせるように展開している。過去にも同じような手法があったが、ここまでシンプルでストイックな演奏を聴いたことはなかった。2曲目 Shuffle Effect、3曲目 Flight Pathは、初期のThe Orchestra Of Excited Stringsを思わせる感じがいい! ドラムとギターが絡むことで、より刺激的に鳴り響く。Arnold Dreyblattのコントラバスを別にすると初期の定番楽器であったバイオリン、チェロ、ピアノ、オルガン、ハーディー・ガーディーでなくてもArnold Dreyblattサウンドを構築できることを証明している。

 

B面のAuditoriaは、Arnold Dreyblattのコントラバスがヴァイオリンのような音色を引き出し、ドローンでミニマルな空間を構築。中盤辺りからギターが絡みだすとリズミカルでソリッドな展開へと変化してくる。4人のアンサンブルが複雑に組み合わさって、一つの頂点へと向かっています。この瞑想的なグルーヴは、これまでのArnold Dreyblattに無かった感じもする素晴らしい曲となっている。

 

Konrad Sprengerがプロデュースを行い、マスタリング、ミックスをOren Ambarchiのアルバム制作に色々と関わっているJoe Taliaが担当しています。Konrad Sprenger、Joachim Schütz、Oren Ambarchiの3人は、独自のスキルを駆使してArnold Dreyblattの曲を現代に伝えようしています。Arnold Dreyblattのこれまでのアルバムの中で、よりロック的な魅力が満載の傑作です。

 

Bandcampでは、Shuffle Effect、Flight Pathしか公開になっていません。なのでユーチューブでContainer、Auditoriaをアップしておきます。

 

2016年のライブ映像です。Oren Ambarchiは参加していませんが、Konrad SprengerとJoachim Schützの2人にホーン奏者が参加しています。この時点でContainerをライブ演奏していたのでした。

 

 

 

過去にArnold Dreyblattについて、色々と書いています。