ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

結成35周年を迎えたIdea Fire Companyの新作バスルーム・エレクトロニクス!

結成35周年を迎えたScott FoustとKarla Boreckyによるアメリカ・マサチューセッツのデュオIdea Fire Company。結成時からインダストリアル、ポストパンクをベースにしながらコズミック、ミニマル、ジャズ、クラシックを取り入れてアヴァンギャルドに変革してきました。35周年に合わせた記念すべき作品が、昨年9月にイギリスの実験レーベルHorn of Plentyからリリースされました。個人的に今注目しているHorn of Plentyからで、これはもう取り上げるしかないですね。

 

Idea Fire Company / Bathroom Electronics

タイトルにあるように、バスルームという小さな密閉された空間の中で、シンセ、キーボードと録音機材を持ち込んで制作されました。シーケンサーやコンピューター、オーバーダブの使用をやめて、ライブ感覚の一発録音。バスルームは誰とでも一緒に入ることの出来ないプライベートな場所です。ベッドルーム・ポップはありますが、より閉鎖的なバムルーム環境で、制作された音楽を聞く人がいるのか?といった不安もあります。でも、彼らはそんな状況を楽しむかのように新たな美学を追求したLo-Fiドローン4曲を収録しています。

バスルーム・リバーヴの響きを利用したプリミティブな音響作品で、より近くで演奏していて、メンバーの息遣いが感じられる雰囲気です。2曲目、3曲目でMatt Krefting、Timothy Shortellの2人がシンセでゲスト参加しています。これまでもIdea Fire Companyを支えてきた2人です。ただ、狭いバスルームの中で、どのように録音していったのかも気になります。

 

やはり圧巻なのは、ラスト曲で20分を越える “The End Of The Line” です。2016年に作られた曲で、近年のライブ定番曲とのことです。ライブごとにアレンジを変えていることもあって、2018年に4つの別テイクによるカセット音源をリリースしています。その時に、このバスルーム企画もあって、作品としてリリースすることを考えていたようです。

 

Lo-Fiドローンを軸とした電子音楽でありながらも、どことなくアコースティックに聞こえてしまう。不思議で緩い音風景を作り上げています。ドライで淡々とした電子音楽が多いなかで、人間味あふれる1枚です。これがIdea Fire Companyの美学なのでしょうね。結成35周年は、彼らにとって通過点でしかないように思った。

 

 

 

 

この記事を書こうとした時に、Idea Fire Companyの2008年リリース “The Island Of Taste” が、2019年にスウェーデンのDiscreet Music傘下のリイシューレーベルFördämning Arkivからリリースされていることを知った。すぐさまDiscreet Musicに注文しました。

Idea Fire Company / The Island Of Taste

Primary

ハーシュ・ノイズの重鎮The New BlockadersのRichard Rupenus、レーベルKyeのオーナーGraham Lambkin、Frans de Waardなど総勢8名が参加しています。Discreet Musicが手掛けているだけに、Idea Fire Companyの中でも重要な一枚であることは間違いないです。