ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodderのへんてこりんなストレンジ・ポップとは

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英国アンダーグランドのポスト・パンク・バンドFamily Fodder。名前は知っていたが、しっかりと聴いたことが無かったのであります。今回、Twitterのフォロワーさんが、彼らのBandcampを紹介していたので聴いてみたら嵌ってしまった。Alig Fodderを中心として1979年にデビューします。男女がかわるがわるにヴォーカルをとりながら、様々な要素を駆使してハチャメチャでユーモラスに鳴り響く。まさにへんてこりんなストレンジ・ポップを展開していました。Alig Fodderは、The Lo Yo Yo、Johnny Human、Vox Humana、Idol Fodder、などの派生バンドでの活動も行いつつ、今現在もFamily Fodderとして活動していたのです。今回、Family FodderのCDを3タイトルも購入してしまったので、紹介したいと思う。

 

Family Fodder / More Great Hits!

2008年リリースの2枚組ベスト盤です。ミニ・アルバム「Sunday Girls」(1979年リリース)より5曲、「Monkey Banana Kitchen」(1980年リリース)より10曲、ミニ・アルバム「ScHiZoPhReNiA pArTy !」(1981年リリース)より4曲、再集結したアルバム「Water Shed」(2000年リリース)からも4曲、そして、これまでリリースされた7インチシングルや未発表音源を含めて全42曲を収録しています。最初はFamily Fodderの最高傑作とされている「Monkey Banana Kitchen」を買おうと思っていたが、圧倒的なボリューム感で彼らの魅力を余すことなく伝えてくれる本作にしました。

 

ポスト・パンクをベースにレゲエ、ダブなどの要素も絡めて自由奔放に面白おかしく攻め込んで来ます。ブロンディーやエリック・サティーのカヴァー曲を含めて、どこまで本気なのか?悪ふざけなのか?その辺りをオブラートに包み込みチープでキャッチーなサウンドです。女性ヴォーカルDominique Levillainの様々な表情を醸し出す歌い方も刺激的で存在感を示しています。This HeatのCharles BullenやThe WorkのMick Hobbs、Rick Wilsonといったレコメン系のゲストも参加しています。混沌としていながらもアットホーム的な雰囲気も感じる初期のFamily Fodderです。

Family Fodderは80年代前半で活動を停止します。2000年に同窓会的に再集結してリリースされたアルバムが「Water Shed」です。その後、2010年に活動を再開します。その時はDominique Levillainの娘Darlini Singh-KaulをフィーチャーしてFamily Fodderのアルバム制作を行っていました。Alig FodderはDarlini Singh-KaulとのユニットIdol Fodderとしてミニ・アルバムも残しています。

 

次に紹介するのはFamily Fodderとして活動していなかった時に関係するアルバムです。

Family Fodder / Foreverandever + Sex Works

2016年にEP盤「Sex Works」と、それをカップリングした「Foreverandever+Sex Works」がリリースされました。元々ForeverandeverはAlig Fodderのソロ名義の派生バンドJohnny Humanが1996年にリリースしたアルバムです。そのアルバムにこれも派生バンドVox Humanaの曲を追加してFamily Fodderとして新たにリイシューしました。Alig FodderとViv Dogan Corringhamの男女混声のヴォーカルを駆使してカラフルに鳴り響かせています。一方「Sex Works」は新たにBee Ororoをヴォーカルとして起用した新曲と80年代の代表曲「Dinosaur Sex」の別ヴァーションなど3曲を収録しています。アルバム全体の印象としては、メローな曲はよりメローに、パンキッシュな曲は奇をてらわずにストレートに真っ向勝負しています。素晴らしいアルバムです。

「Foreverandever + Sex Works」は、まだBandcampにアップされていませんでした。販売権の関係でしょうかね? 尚、初期のアルバムは今年になってからアップされたようです。デジタルはすべて「価格を決めて下さい」になっているので、結構太っ腹です。唯一CDでの販売のあった「Easy Listening (Not)」をBandcampで購入。12ドルで送料を取っていなかったので、以外と安く買うことが出来ました。オーダー後にAlig Fodder本人からサンクス・メールも頂きました。嬉しいですね。

 

Family Fodder / Easy Listening (Not)

2018年リリースされた今のところの最新作。定番となっている女性ヴォーカルは本作でも健在です。2010年よりFamily Fodderに参加しているMae KarthauserとAlig Fodderによるデュオ・アルバムです。よりシンプルに2人のヴォーカルが堪能出来ます。時代と共にサウンドは変化しても、Family Fodderとして女性ヴォーカルの存在は今後も変らないと確信出来ますね。

 

 

 

Marion Cousinの歌声に絡むKaumwaldの異端エレクトロ・ノイズの世界とは

MARION COUSIN & KAUMWALD + VeryDub | 13.06.19 | emmetrop.fr

フランス、ノルマンディー出身で舞台翻訳なども手掛ける女性音楽家Marion Cousin。彼女はBorja FlamesのユニットJune et Jimのメンバーとしても活動していました。Marion Cousin名義のアルバムとなると、2016年のフランス人チェリストGaspar Clausとのコラボ・アルバム「Jo Estava Que M'Abrasava」があります。このアルバムでヴォーカリストとして躍進しました。

 

本日はそれに続くMarion Cousinの2作目「Tu Rabo Par'Abanico」を紹介したいと思う。今回もコラボ作であります。一緒に共演するのは、2人のフランス人Clément Vercelletto、Ernest BergezによるユニットKaumwaldです。 彼らはエレクトロニクス中心に様々なサウンド構築を行っています。この3人が織り成すぶっ飛んだ音楽を是非聴いて欲しい!

 

Marion Cousin & Kaumwald / Tu Rabo Par'Abanico

「Tu Rabo Par'Abanico」は、前作の共演者であるGaspar Clausの主催するレーベルLes Disques du Festival Permanentと、アヴァンギャルドシャンソン、フォーク、コンテンポラリー、ワールドミュージックを提示し続けるフランスのレーベルLe Sauleとの共同で2020年5月にリリースされました。

 

Marion Cousinのアヴァンギャルドシャンソンに合わせて、Kaumwaldのパーカッション、エレクトロニクスが絡んでいます。彼女の凛とした哀愁を感じさせる歌声をぶち切るがごとく散りばめられた異端エレクトロ・ノイズの数々。お互いの主張を真っ向からぶつけ合った中から醸し出される美しく華麗に鳴り響く世界。中世ヨーロッパ的な雰囲気も感じられます。伝統と実験の融合から生み出された素晴らしいアルバムです。

前作と聴き比べてもMarion Cousinのトラディショナルな歌声は基本何も変ってません。ただ、彼女の歌声に共演者の奏でる演奏が絡むことで、これまでに無い世界を生み出していることは確かです。今年はドローン、アンビエント楽家Golem Mecaniqueのアルバム「Nona, Decima Et Morta」にもゲスト参加しているMarion Cousinです。今後もコラボ企画を続けるのか?あるいは単独名義でアルバムをリリースするのか興味深いところでもあります。

 

 

参考までに前作Marion Cousin & Gaspar Claus「Jo Estava Que M'Abrasava」と今回の共演者であるKaumwald「Rapa Nui Clan」もBandcampでアップしておきます。

 

 

2020年8月のディスカホリック

2020年8月のディスカホリックは、14タイトルの購入実績でした。今月はDaniel Johnstonのカセット5本を始めとして、ディスクユニオンでの購入が多いです。アマゾンで扱っていないものなど、しっかりと在庫を持っていることを今頃になって気づきました。これまではすぐ海外に注文していたが、送料が高く付いていました。今後はディスクユニオンでの購入が増えていくかいもしれませんね。

 

Daniel Johnston / Songs Of Pain - Dan Johnston 1980-81(Cassette) 購入先diskunion.net 購入価格1,408円

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 初期音源集。

 

Daniel Johnston / Lost Recordings II(Cassette) 購入先diskunion.net 購入価格1,155円 

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1983年のコンピレーション音源。

 

Daniel Johnston / Respect(Cassette) 購入先diskunion.net 購入価格990円

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1985年リリース音源。

 

Daniel Johnston / Live At SXSW(Cassette) 購入先diskunion.net 購入価格1,650円

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1990年3月14日のライブ音源。

 

Daniel Johnston / Live In Berlin(Cassette) 購入先diskunion.net 購入価格1,155円

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1999年6月6日のライブ音源。


今月の記事で書いています。


 

Pere Ubu / By Order Of Mayor Pawlicki-Live In Jarocin(CD)購入先diskunion.net 購入価格2,090円

2017年ポーランドのJarocin Festivalのライブ音源。70年代から80年代初期の曲を中心に収録。ボーナスCDとして2018年、2013年のライブ音源もセットになっています。


 

Wire / 10:20(CD) 購入先diskunion.net 購入価格1,760円

 

Wireの定番と成りつつある過去の曲のリワーク集です。前半が2010年の録音時で、後半が2020年の録音となっています。2010年録音時の曲には、Margaret Fiedlerの名前もクレジットされています。


 

The Notwist / Ship(10inch Vinyl) 購入先Morr Music Bandcamp 購入価格€25.98(3,375円)

The Notwistの3曲入り10インチシングル。タイトル曲のヴォーカルにテニスコートSaya Uenoをフィーチャーしています。早く新作を出して欲しいです。

 

 

The No-Neck Blues Band / Gitanjali + The Nascent Stigma(Vinyl) 購入先Ri Be Xibalba 購入価格$29.00(5,412円)

2013年リリース時はすぐに完売し購入出来ませんでした。今回リイシューされたようです。ライナーノーツをAlan Bishopが書いています。 

 

 

Altın Gün / Gece(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格1,752円

Altin Gun(アルタン・ギュン)アルバム『Gece(ゲジェ~夜)』

ターキッシュ・サイケ・ファンク・バンドAltin Gunの2019年リリースのセカンドアルバム。今年のフジロックに出演予定でした。来年のフジロックは必見です。

 

 

Khruangbin / Mordechai(CD) 購入先Amazon.co.jp 購入価格1,965円

 

テキサスの3人組 Khruangbinのサード・アルバムとなる新作。ヴォーカルをメインにして、より一層メローでグルーヴに変化しています。 

 


Peaking Lights / E S C A P E(2Vinyl) 購入先diskunion.net 購入価格2,750円

 

LAのサイケデリック・ダブ・デュオPeaking Lightsの新作。今回もエレクトロニックでサイケに鳴り響いています。 

 

 

Sonic Boom / All Things Being Equal(CD) 購入先diskunion.net 購入価格2,640円

 

Spacemen 3のPete KemberのSonic Boom名義による30年振りの新作。SpectrumやExperimental Audio ResearchじゃないことにPete Kemberの思いが感じられる。

 

 

Helen Money / Atomic(CD) 購入先Amazon.co.jpHMV online) 購入価格3,150円

シカゴのチェリストHelen Moneyによる新作。アヴァンギャルドでロックに鳴り響いています。

 

 

 

フランスの鬼才Luc Ferrariの未発表音源集「Photophonie」、彼を知る上でのベストな1枚! 

Luc Ferrari Photos (7 of 23) | Last.fm

フランスの鬼才Luc Ferrari(1926~2005)との出会いは、David Grubbsが主宰するレーベルBlue Chopsticksからの「Interrupteur/Tautologos 3」でありました。1999年にリリースされたこのアルバムがBlue Chopsticksの最初のリリースです。当初はよく分らず、どうしてこれなのかなと思っていました。それで、David Grubbsが何故魅了されてしまったのか、何枚か手当たりしだいに聴いていくうちに、Luc Ferrariの摩訶不思議な魅力に取り付かれてしまったのです。

 

50年代初期から音楽活動していた彼は、浜辺の環境音を録音し、それを編集して作品にしてしまうテープ音楽、いわゆるフィールドレコーディングスのオリジネイターとしてミュージック・コンクレート界の巨匠として君臨することになる。彼の音楽は、古典的なオーケストラから、ラジオドラマ、シアター音楽、そして、ミニマル、アンビエント、ドローン、ノイズ・コラージュ、DJリミックスなど、幅広く活動するなかで、David Grubbsがフェバリット・アーティストとして掲げるのも納得である。

 

Luc Ferrari / Photophonie(Vinyl)

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昨年生誕90周年を記念した'73~’92の間に制作された未発表音源を収録した「Photophonie」がリリースされました。Luc Ferrariの様々な要素を取り込んだ全4曲。Luc Ferrariには数々の名作があるけど、彼の全体像を簡単に把握するのであれば、このアルバムで充分に確認の出来るベストな1枚です。今回は4曲それぞれにコメントを書いて紹介します。

 

Photophonie(1989)

A面はアルバム・タイトル・ナンバー「Photophonie」の1曲のみの収録で、フランスの写真家Alain Willaumeの写真展へ捧げた作品です。写真展のBGMとして使用され、写真と音楽によるインスタレーションを実践したようです。Luc Ferrariの全ての要素を取り込んだ傑作です。Alain Willaumeについて、写真を4枚アップします。写真を見ながら曲を聴くと不思議な世界へと導いてくれます。

Alain Willaumeの写真

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La photographie, un chant orphique, par Alain Willaume – Le blog ...

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Alain Willaume - Echoes of Dust and Fracturing - Phases Magazine

 

Il était une fois(1973)

B面1曲目「Il était une fois」は、同じくフランスのエレクトロ・アコースティック集団G.M.E.B.から委託された曲です。G.M.E.B.は作曲家Françoise BarrièreとChristian Clozierが設立した集団です。Luc Ferrari、Brunhild Ferrariのアルバム「Programme Commun」のミックスを担当したのもG.M.E.B.でした。フィールドレコーディングスされた音源を駆使しながら、映画のサントラのような曲です。素晴らしい!

 

Trans Voices(1992)

B面2曲目「Trans Voices」は、女性のヴォイスをレイヤーにサンプリングした51秒と短い曲です。アルバムのアクセントとして、さり気なく挿入する辺りは、流石Luc Ferrariといった感じです。

 
Tu m’écoutes(1975)

B面3曲目「Tu m’écoutes」はカメラメーカー・ライカの広告音源です。ミニマル・ドローンをベースにフィールドレコーディングスされた音をコラージュして作り上げています。ライカをイメージして聴くと臨場感が溢れます。格好いいです。

 

Luc Ferrariを初めて聴くリスナーにお勧めです。もちろんヘビーリスナーも同様です。未だに、こんなに素晴らしい音源があることに驚かされるに違いない!必聴アイテムです。

 

 

 

 

 

 

 

 

Daniel Johnstonのカセットを5本も買った!これほど、カセットが似合うアーティストって彼しかいない

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Daniel Johnston が宇宙の彼方へと旅立ってからまもなく一周忌となる。そんな中、ダニエル・ジョンストン追悼展「The Story of an Artist」が8月1日から東京・銀座のヴァニラ画廊で開催されている。何も無ければ今すぐにでも行きたいところではあるが・・・


7月の後半に追悼展「The Story of an Artist」が開催されることを知った。それで何か追悼音源が出てないか探していた。今年になって2017年のシカゴでのライブ盤「Chicago 2017」やBuilt To Spillのカヴァー・アルバム「Built To Spill Plays The Songs Of Daniel Johnston」がリリースされていることを確認したが、いまいち食指が動かなかった。たまたま、ディスク・ユニオンのオンラインにてカセットを発見した時は、ちょっと興奮した。もうこれしかないでしょう!と在庫のあるカセットを漁っていたら 5本も買ってしまった。これほど、カセットが似合うアーティストってDaniel Johnstonしかいないですね。

 

Daniel Johnston / Songs Of Pain - Dan Johnston 1980-81

 

初期音源集。

 

 

Daniel Johnston / Lost Recordings II

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1983年のコンピレーション音源。

 

 

Daniel Johnston / Respect

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1985年リリース音源。

 

 

Daniel Johnston / Live At SXSW

1990年3月14日のライブ音源。

 

 

Daniel Johnston / Live In Berlin

 

1999年6月6日のライブ音源。

 

今回購入の「Songs Of Pain - Dan Johnston 1980-81」、「Lost Recordings II」、「Respect」は、80年代のセルフ録音物です。傑作とされている1983年の「Yip / Jump Music」と「Hi, How Are You: The Unfinished Album」のカセット購入は出来なかったけど、Daniel Johnstonの無垢で狂気に音を掻き鳴らし歌っていることに変りないです。NirvanaKurt CobainDaniel JohnstonのTシャツを着ていたことなど、多くのアーティスト達が、この時代のカセットに魅了させられたのでしょう。自分も2003年の初来日を観たことを思いながら聴いていたら、一周忌を前にして再びうるっとしてしまった。

 

 


 

 

Sun City Girls関連の新作あれこれ

 Sun City Girls - credit: Toby Dodds

Sun City Girlsの新作(2004年のライブ盤)、弟Rick BishopのSir Richard Bishopによる新作、そして兄Alan Bishop率いるThe Dwarfs of East Agouzaの新作がリリースされました。前回のブログ記事「2020年7月のディスカホリック」で購入履歴を書いていますが、これは纏めて紹介するしかないですね。Sun City Girlsについては、これまで何回か取り上げています。過去のブログ記事もアップしますので、こちらも参考にして頂くと有難いです。

 

 

Sun City Girls / Live At The Sky Church-September 3rd, 2004

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2000年以降のSun City Girlsは、Carnival Folklore Resurrectionと題されたアルバム・シリーズを2005年までに14タイトルもリリースしていた。これまでのフォーキーでパンキッシュなサウンドインプロヴィゼーション、フリージャズ、中東やアジアと言ったワールドミュージック、サンプリングなど様々な要素を取り込んだアルバムが多くなっていた。

 

本作は2004年9月3日にシアトルのSky Churchで行われたBumbershootフェスティバルのライブ音源LPと映像を収めたDVDのセットです。Carnival Folklore Resurrectionシリーズの影響を受けて、何でもアリアリの状態でカオティックにぶっ飛んだライブになっています。Sun City Girlsのかぶり物をしている画像は色々とあるが、ライブ映像はあまり観たことが無い。貴重なパフォーマンスが記録された1枚だと思う。尚、このアルバムのマスタリングにMark Gergisの名前がクレジットされています。

マスタリングを担当したMark Gergisについても、今年前半に取り上げています。


 

Sir Richard Bishop / Oneiric Formulary

Oneiric Formulary | Sir Richard Bishop 

Sun City Girlsとして活動している1998年にアコースティック・ギターを駆使したインストゥルメンタル・アルバム「Salvador Kali」でソロ・デビューしてから、多くのソロ・アルバムをリリースしているSir Richard Bishop。全てを把握している訳じゃないが、アコースティック・ギターを中心とした作品で、John Fahey(1939~2001)を彷彿させていた。このことからJohn Faheyの後継者の1人にも取り上げられ、アコースティック・ギターの名手として評価を確立していった。

 

本作はレコードとカセットでリリースされ、私は価格の安かったカセットで購入しました。ギター・インストゥルメンタルを中心にアンビエントから映画のサウンド・トラック風の曲まで、ギターの多彩な奏法を用いてドラマチックに鳴り響いてきます。Sun City Girlsで養ってきたアヴァンギャルドでエクスペリメンタルな要素も取り入れた全10曲を収録。Sir Richard Bishopのギターに対する愛情がヒシヒシと伝わってくると同時に、これまでの彼が行って来たギター・ワークの集大成とも言えるアルバムに仕上がっています。

Bandcampでは、3曲のみの公開なので、Youtubeでもアップしておきます。

 

 

The Dwarfs of East Agouza / The Green Dogs Of Dahshur

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The Dwarfs of East Agouzaは、エジプト出身の2人のミュージシャンSam Shalab(ギター)、Maurice Louca(オルガン、シンセサイザー、ビーツ)、そしてSun City GirlsのAlan Bishop(ギター、ベース、サックス)の3人組バンド。辺境トライバルでアヴァンギャルドサウンドを奏でています。2016年に活動を開始して、これまでに5枚のアルバムをリリースしています。尚、Sam Shalabはカナダ、モントリオールを拠点に、Shalabi Effectのメンバーとしても活動しています。

 

5作目となる本作もエジプト、カイロで録音され、Vinylオンリーでのリリースです。これまで同様にアラビア語による表記もされています。因みにバンド名は   أقزام شرق العجوزةになります。3人のインプロから醸し出されるコラージュ的な音像に不穏で不気味な雰囲気を感じさせる全4曲。アラビアンチックなテイストも取り込んでトランス状態へと導いてくれます。世界の辺境音楽に精通してるAlan Bishopだからこそ、成し得るサウンドであることを再確認したアルバムです。

Alan Bishopのエジプト 絡みは、The Dwarfs of East Agouzaだけではありません。もうひとバンドThe Invisible Handsもあります。過去の記事「Sun City Girlsあれこれ」で取り上げています。確認してみてください。

 

 


 

 

2020年7月のディスカホリック

 昨年の今頃はフジロックで盛り上がっていました。「#エアフジロック」というハッシュタグがあってTwitterで検索しながら、皆さんの熱い思いを拝見している。自分も今年10月か11月に越後湯沢や苗場に温泉旅に行こうと考えていたが、このままだと難しいです。来年に期待するしかないけど・・

 

さて、今月のディスカホリックは10タイトルの購入実績でした。今年は素晴らしいアルバムに多く出会えて、リスナーとしては嬉しい限り。個別に取り上げたいものも多いですが、マイペースでやっていくしかないですね。

 

Cornershop / England Is A Garden(Cassette) 購入先waltz 購入価格1,718円

インド系英国人のTjinder Singh率いるCornershopの5年振りの新作。未だに活動していたとはね。シタール、タブラの民族楽器が絡むメローでポップな世界は今も変らずです。

 

Cornershop / When I Was Born For The 7th Time(CD) 購入先Amazon.co.jp(もったいない本舗) 購入価格351円

新作の影響を受けて思わず購入してしまったCornershopの1997年の大ヒットアルバム。


 

 

Sun City Girls / Live At The Sky Church-September 3rd, 2004(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,574円

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Sun City Girlsの2004年9月3日のライブ音源「Live At The Sky Church」がリリース(LP+DVD)されました。2000年以降の彼らは、何でもアリアリの状態でハチャメチャなアルバムばかりリリースしていました。このライブもぶっ飛んでいます。 

 

Sir Richard Bishop / Oneiric Formulary(Cassette) 購入先waltz 購入価格1,718円

Sun City GirlsのRick BishopことSir Richard Bishopの新作。彼はアコースティック・ギターの名手として高い評価を受けています。今回もアコースティック・ギターの魅力を多彩な奏法にて表しています。 

  

The Dwarfs of East Agouza / The Green Dogs Of Dahshur(Vinyl) 購入先Art Into Life 購入価格3,372円

Sun City GirlsのAlan Bishopを中心にSam Shalabi、Maurice Loucaが参加しているThe Dwarfs of East Agouzaの新作。エジプト・カイロで録音された本作はサックス、ギター、オルガン、パーカッションが不穏で不気味なサウンドを掻き鳴らしています。

 

 

Antoine Loyer / Chant De Recrutement(CD) 購入先Art Into Life 購入価格2,712円

 Antoine Loyer / Chant De Recrutement

ベルギーのSSW、Antoine Loyerの2014年リリースの人気アルバム。アコギとヴォーカルのフォークを基本にしながら、ダブラやハーモニウムなどの民族楽器を取り入れてエキゾチックな世界を披露しています。

 

 

 

Eternal Tapestry / Sleeping On A Dandelion(Cassette) 購入先Discogs  (kbhnordvest) 購入価格€25.00(3,157円)

 

2016年にリリースしていた2014年4月28日のライブ音源。カセット・オンリーなので、完売かと思っていました。 Eternal Tapestryのサイケ・サウンドにサックスがズボズボに絡んでいます。

 

 

 

Véronique Vincent & Aksak Maboul With The Honeymoon Killers / Ex-Futur Album  (CD)  購入先Aksak Maboul  Bandcamp 購入価格€16.80(2,123円)

2014年リリースのVeronique Vincent & Aksak Maboul with The Honeymoon Killers名義による80年代前半に録音された未発表音源。

 Aksak Maboulの新作については、今月の記事で取り上げています。


 

 

Juana Molina / Forfun(10inch Vinyl) 購入先Crammed Discs 購入価格£32.99(4,699円)

アルゼンチンの歌姫Juana Molinaの2019年後半にリリースされた10インチEP。アルバムHaloに収録されていたParaguayaのパンク・ヴァージョンを含む4曲です。今後に期待が持てますね。



 

 

Pandelindio / Live Recordings(Cassette) 購入先Pandelindio Bandcamp 購入価格$28.00(3,143円)

アルゼンチンのFederico Fossati率いる音楽プロジェクトPandelindioの新作。2015年から2018年のライブ音源5曲をセレクトしたコンピレーション・アルバムです。