ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

フリーフォームバンドEyes of the Amaryllisの奏でるゴーストサウンド!

Music | Eyes of the Amaryllis

前回に引き続き今回もイギリスの実験レーベルHorn of Plentyからリリースされた作品を取り上げます。ソロ活動を含めて様々な活動を行い、レーベルCor Ardensも運営する奇才Jim StrongとソロユニットPeople Skillsとしても活動しているJesse S. Dewlowに、Goda Trakumaite、Esther Scanlundが、参加して結成されたアメリカ・フィラデルフィアのフリーフォームバンドEyes of the Amaryllis。彼らの昨年9月リリースの2ndアルバムを紹介します。

 

Eyes of the Amaryllis / Perceptible to Everyone

牧歌的なアンビエントフォークからフリージャズに、ささやくようなヴォーカルや退廃的な感触で絡むエレクトロニクス、小鳥の鳴き声などの自然音や日常生活の物音をコラージュ。全8曲、さまざまな楽器を駆使して、もう何がなんだかわからない世界を築いています。即興で作られているのか、元となる曲があって作られているか不明ですが、各メンバーの音に対する拘りは相当なものを感じる。まどろみの中、白昼夢をみているような気分。

最初に彼らのことをフリーフォームバンドと書いた。自由奔放で抽象芸術のように、目に見える対象をそのまま表現しないことでゴーストのようだと比喩している海外レビューが多かったのも確か。まさにその通りで、聴いているうちにゴーストサウンドに取り憑かれるヤバい1枚となっている。

 

 

 

今、個人的に注目しているイギリスの実験レーベルHorn of Plenty。これまでにNein Rodere、William Henry Meung、Idea Fire Company、そして、今回のEyes of the Amaryllisを個別に取り上げてきました。ベテランや新人、あるいは新作やリイシューに関係なくレーベル・カラーに合う作品は積極的にリリースしています。今月も幾つか購入しています。また紹介出来るかな?


 

 

結成35周年を迎えたIdea Fire Companyの新作バスルーム・エレクトロニクス!

結成35周年を迎えたScott FoustとKarla Boreckyによるアメリカ・マサチューセッツのデュオIdea Fire Company。結成時からインダストリアル、ポストパンクをベースにしながらコズミック、ミニマル、ジャズ、クラシックを取り入れてアヴァンギャルドに変革してきました。35周年に合わせた記念すべき作品が、昨年9月にイギリスの実験レーベルHorn of Plentyからリリースされました。個人的に今注目しているHorn of Plentyからで、これはもう取り上げるしかないですね。

 

Idea Fire Company / Bathroom Electronics

タイトルにあるように、バスルームという小さな密閉された空間の中で、シンセ、キーボードと録音機材を持ち込んで制作されました。シーケンサーやコンピューター、オーバーダブの使用をやめて、ライブ感覚の一発録音。バスルームは誰とでも一緒に入ることの出来ないプライベートな場所です。ベッドルーム・ポップはありますが、より閉鎖的なバムルーム環境で、制作された音楽を聞く人がいるのか?といった不安もあります。でも、彼らはそんな状況を楽しむかのように新たな美学を追求したLo-Fiドローン4曲を収録しています。

バスルーム・リバーヴの響きを利用したプリミティブな音響作品で、より近くで演奏していて、メンバーの息遣いが感じられる雰囲気です。2曲目、3曲目でMatt Krefting、Timothy Shortellの2人がシンセでゲスト参加しています。これまでもIdea Fire Companyを支えてきた2人です。ただ、狭いバスルームの中で、どのように録音していったのかも気になります。

 

やはり圧巻なのは、ラスト曲で20分を越える “The End Of The Line” です。2016年に作られた曲で、近年のライブ定番曲とのことです。ライブごとにアレンジを変えていることもあって、2018年に4つの別テイクによるカセット音源をリリースしています。その時に、このバスルーム企画もあって、作品としてリリースすることを考えていたようです。

 

Lo-Fiドローンを軸とした電子音楽でありながらも、どことなくアコースティックに聞こえてしまう。不思議で緩い音風景を作り上げています。ドライで淡々とした電子音楽が多いなかで、人間味あふれる1枚です。これがIdea Fire Companyの美学なのでしょうね。結成35周年は、彼らにとって通過点でしかないように思った。

 

 

 

 

この記事を書こうとした時に、Idea Fire Companyの2008年リリース “The Island Of Taste” が、2019年にスウェーデンのDiscreet Music傘下のリイシューレーベルFördämning Arkivからリリースされていることを知った。すぐさまDiscreet Musicに注文しました。

Idea Fire Company / The Island Of Taste

Primary

ハーシュ・ノイズの重鎮The New BlockadersのRichard Rupenus、レーベルKyeのオーナーGraham Lambkin、Frans de Waardなど総勢8名が参加しています。Discreet Musicが手掛けているだけに、Idea Fire Companyの中でも重要な一枚であることは間違いないです。

 

 

Maths Balance Volumesの奏でる退廃的なフリーフォークの世界とは!

このところフォークに凝っている。でも古典的なフォークではない。2000年代前半にフリーフォーク・ムーブメントがマニアックに盛り上がっていた。そのころを彷彿させるようなバンドが現れている。当時はフォークを音楽ルーツにして、サイケ、エレクトロニクス、インプロなどの要素を取り込んでサウンド構築していた。今はそれぞれに独自の音楽ルーツがあってそれらが一体となったときに、偶々フォークになってしまった感じもする。代表的なバンドの一つが、スウェーデンのEnhet För Fri Musikであります。彼らの場合、インダストリアル、ノイズ、アンビエント、ポストロックを音楽ルーツに持っている各メンバーが集まって不思議なフォークの世界を築き上げている。レーベル側もこうした流れ捉えて様々なフォーク的なサウンドをリリースするようになっている。

 

そんな状況の中、アメリカ・ミネソタ州マンケートを拠点とするMaths Balance Volumesを紹介します。2002年に結成して何度も活動中止をしながら、現在Alena Johnson、Clay Kolbinger、Jameson Sweigerの3人編成となっています。3人での画像が無く、あっても2人の顔の表情が見えないように黒塗りとなっている。

これまでChocolate Monk、Kyeからリリースしたこともあった。2020年にイギリスのPenultimate Pressからリリースされた “A Year Closer” でやっと注目を浴びるようになる。2023年後半にリリースされた新作 ”Cycles Of Tonite“ も同じくPenultimate Pressからのリリースです。このレーベルはアヴァン・ギャルドなコンテンポラリー作品を中心に扱っていて、その辺りも興味深いです。今回は、この2作を取り上げます。

 

Maths Balance Volumes / A Year Closer

A Year Closerのタイトルが、このアルバムのテーマを示している感じです。1曲目 “The Mask Isn't Working” 、2曲目 “Dark Sky” からは、世界に対する警告メッセージのように聞こえる。ラスト曲 “Over The Hill” ではもう終わってしたような退廃的雰囲気を醸し出している。これらをフォーク、ブルース、インプロからノイズ、物音までもごった煮したロー・ファイな世界。ネガティブでエクスペリメンタルであるけど、男女2人のヴォーカルが、幻想の世界から現実へと引き戻してくれる鮮烈な1枚。ちょっとヤバいです。

 

Maths Balance Volumes / Cycles Of Tonite

前作 “A Year Closer” の流れを引き継いだ新作 ”Cycles Of Tonite“ です。ただ、退廃的な雰囲気を残しつつ、1曲目 ”Stay“ では、何があってもここに居るといったメッセージのようにも聞こえます。ロー・ファイでシンプルでありますが、一つ一つの音を活かしつつ、いい感じでヴォーカルが絡んできます。5曲目Egyptian Weddingでは、工業地帯の物音をバックにアカペラで歌い上げています。ラスト曲 ”I’ll Know You“ は、2人のヴォーカルがお互いの特性を活かしたアンサンブルで穏やかに終焉を迎えています。このアルバムも素晴らしいです。

Cycles Of ToniteのBandcampでは3曲しか公開になってないので、文中で取り上げた2曲をYouTubeでアップしておきます。

 

Maths Balance Volumesは2作品で一つの物語を築いています。ライナーノーツでは、「最悪の事態を待ちながら、物事がひとつにまとまっていく。名もない私たちがリズムを持ち、時計の針が進むことを分かち合う。希薄だが確かな音楽を共有するのだ。たとえ電気をつけて誰もいなかったとしても」と書かれている。改めてMaths Balance Volumesの凄さを感じてしまった。

 

 

 

Enhet För Fri Musikについて書いています。

 

 

2024年1月のディスカホリック(今年もフジロック・フェスティバルに行きます!)

今年もフジロック・フェスティバルに行きます。残念ながら早割抽選には落選したけどね。出演者第一弾発表は今週末ぐらいにでもあるのかな?もの凄く楽しみです。宿の方は、何件か電話にて確認していますが、まだ、価格が決まっていないので予約が取れないとのことです。オフィシャル・ツアーとの関係もあるのかな?ネットにはあまり出てこないので、これから電話掛け捲りで宿を確保したいと思う。宿のクオリティーにも拘りたいので、そうなると越後湯沢駅周辺ですね。ピンからキリまで様々な宿に泊まったことがあるけど、年を取るとしっかりとした温泉宿でゆっくり休息したいのですよ。これもフジロックの楽しみの一つでもあります。

 

2024年1月のディスカホリックはレコード8、CD2、カセット1の計11作品の購入実績でした。ニッチな作品ばかりですが、今年も ”貴方の知らない音楽” を紹介出来ればと思っている。

Art Improvement Art Brigade / Another Sunday(CD)  購入先Discreet Music 購入価格€18,99(3,110円)

Art Improvement Art Brigade はWilliam Henry Meungとその仲間らと始めた新たなプロジェクトです。日本のMotoko Kikkawaも参加。ギター中心にカオティックに鳴り響かせています。

 

 

Headroom / Headroom(CD) 購入先Discreet Music 購入価格€18,99(3,110円)

Headroom CD

アメリカ・コネチカット州を拠点にノイジーサイケデリックサウンドを奏でるHeadroom。すでに廃盤となっているシングルやEP盤を集めたコンピレーション盤。


 

Stefan Christensen / F.D Grave & Son(7inch Vinyl) 購入先Discreet Music 購入価格€26,99(4,419円)

Headroomのメンバーでもあり、レーベル運営も行い様々な活動をしているStefan Christensen。昨年10月にリリースされた限定30枚の7インチ・シングル。


 

Drifting / Dream Autopsy(Vinyl) 購入先Discreet Music 購入価格€28,99(4,747円)

Primary

スウェーデンヨーテボリのレーベルDiscreet Music傘下Förlag För Fri MusikからリリースされたDan Johansson、Julia Bjernelind、Weston CzerkiesによるユニットDrifting。Julia Bjernelindのフォーキなボーカルに絡むサイケデリック・ノイズが最高!いかにもFörlag För Fri Musikらしい作品です。

 

 

Eyes of the Amaryllis / Perceptible to Everyone(Vinyl) 購入先Tobira Records 購入価格4,280円

牧歌的なアンビエント・フォークからフリージャズまでを奏でるEyes of the Amaryllis。昨年9月にHorn of Plentyよりリリースされた3作目となる新作。

 

 

Idea Fire Company / Bathroom Electronics 購入先Tobira Records 購入価格4,280円

浮遊感のある独特のエレクトロニックス・サウンドを奏でている結成35年のIdea Fire Company。昨年9月にHorn of Plentyよりリリースされた新作。

 

 

Maths Balance Volumes / A Year Closer 購入先Tobira Records 購入価格3,888

2002年に結成して、ドローン、フォーク、ノイズを奏でるMaths Balance Volumesの2020年作品。

 

 

Maths Balance Volumes / Cycles of Tonight 購入先Tobira Records 購入価格4,488円

昨年12月にリリースされた新作。

 

 

Dakhabrakha / The Bedouin Reworks Of Dakhabrakha(Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,017円

ウクライナの4人組エスノ・フォークバンドDakhabrakhaの楽曲を、ブルックリンのRami Abousabe & Tamer MalkiによるデュオBedouinがリワークした2022年作品。

 

 

Six Organs Of Admittance / Sleep Tones(2Vinyl) 購入先Amazon.co.jp 購入価格2,952円

2020年にデジタル配信されていたアンビエント作品をリマスターしてレコードとしてリリース。


 

Landing / Subscription Series Collection 03(Cassette) 購入先Landing Bandcamp 購入価格$14.00USD(2,163円)送料のみ

Landing Bandcampサブスクリプション会員限定のカセットが届きました。 月額$3 USDは掛かりますが、届くとやはり嬉しいです。送料だけは自己負担ですけどね。


 

Spiritualized、Spring Heel JackのメンバーでもあるマルチプレーヤーJohn Coxonの初ソロ・アルバム “Real Magic Vol.1”

Jason Pierce率いるロックバンドSpiritualizedのメンバーでもあり、Ashley WalesとのデュオSpring Heel Jackとして電子音楽を中心に様々な音楽を奏でているマルチプレーヤーJohn Coxon。ソロ活動としては、Eddie PrevostやEvan Parker、Alex Wardら様々な即興音楽家とのコラボレーションも行ってきました。そんな状況の中、Ashley Walesと2人で立ち上げたレーベルTreaderより、昨年11月にJohn Coxon単独名義としての初ソロ・アルバム ”Real Magic Vol​.​1” をリリースしました。

 

John Coxon / Real Magic Vol​.​1

本作はパーカッション、ギター、ターンテーブルCDJといった最小限の楽器を使用して2021年に録音されており、限られた時間と空間のなかで1年をかけて制作されている。ナンバリングされたRM#の曲タイトルからは、統一感というよりも、日々の創作プロセスを記録した日記的な作品と捉えているようです。その時々での自由奔放なアイディアを演奏に取り込んでいる。

 

アルバム前半はベル音やトライアングル、カリンバなど使ってのパーカッシブなサウンドターンテーブルCDJといった機材から醸し出される音を組み合させた展開。John Cage的な雰囲気を感じさせながら、空間に漂う音に魅了してしまった。中盤から後半にかけては、John Coxonのブルージーなギターを聴くことが出来ます。どことなくアンビエント風に聴かせてしまう独特のギターワークに驚く。これまでは脇役的なイメージであったが、本作で彼のマルチプレーヤーとしての存在感を示したことは間違いない!

数多くの音源があったのでしょうね。クレジットにはCompiled By Mikel Acostaとなっている。Mikel AcostaはレーベルHegoa Recordsのオーナーであり、この人が選曲や曲順を決めたとされている。寄せ集めで様々な音源を収録しているが、John Coxonのやりたいことが凝縮された1枚だと思う。本人は「音楽とは、果てしなく魅力的で魔法のようなものだが、いまだに理解できない」とコメントしているようです。Vol​.​1となっているので続編も有りそうですね。

 

 

 

 

Jason Pierceと John Coxonの2人でThe Red Krayolaのカヴァーを行っています。


 

ニュージーランドのWilliam Henry Meungが奏でるカオティックなLo-Fiインディ・フォーク!

William Henry Meung on defining experimental music and more (Video) |  dunedinsound.com

フォーク、ジャズ、ノイズ、ミニマル、ドローンなどを中心にエクスペリメンタルでオブスキュアな雰囲気を持ったDIY的ミュージシャンやバンドの音源を届けてくれる英国のレーベルHorn of Plentyに注目しています。このレーベルより昨年は、ベルリンを拠点に活動しているアウトサイダーミュージシャンNein Rodereを取り上げました。今回はニュージーランド先住民族マリオをルーツにしているWilliam Henry Meungの “Hiraeth and Limerence” を紹介します。

 

William Henry Meung / Hiraeth and Limerence

William Henry Meungは10年以上前より音楽活動を行っていた。つい最近になってやっとカセット・テープを中心に作品をリリースし始めています。本作は昨年7月にリリースされた初のフルレングス・レコードで、2016 年から 2019 年にかけて録音されたアーカイブ音源です。リリース元Horn of Plentyは、何がなんでも新作に拘っている訳ではなく、内容のいいものはコンピレーション、リイシュー関係なく取り扱っている。

 

このころ本人は、精神疾患と闘っていた。10年近い闘病生活の中で録音されたのが、 “Hiraeth and Limerence” であります。宅禄で粗悪な録音環境の中で、ギター、ピアノ、ヴォーカル、自作の電子機器に加えて録音した機材から出るアンプハム、テープビズのノイズまでダイレクトに収められている。取り敢えずそのまま録音したチープな音源で、彼の精神状態を表した恍惚と絶望で揺れ動く心の思いが伝わってくる。

 

全14曲で4曲のヴォーカル曲が収録されている。センシティヴなメロディを淡々と歌い上げているが、これがLo-Fiインディ・フォーク的な雰囲気で最高にいい。最初に聴いたとき、寄せ集めでとりとめもなく曲が配置されていると思ったが、このヴォーカル曲をバランスよく挿入している。インスト・ノイズ曲との高低差も含めて、カオティックに鳴り響いている。聴き込むことで、統一感を持ったアルバムであることを確認する。レーベルHorn of Plentyのカラーが、凝縮された素晴らしい1枚です。

 

Bandcampでは1曲の公開なので、SoundCloudより何曲かアップしておきます。





 

 

 


 

Dire Wolvesの再活動、新たなる方向を示した新作 “Easy Portals”

Jeffrey Alexander率いるサンフランシスコのサイケデリックバンドDire Wolves。2019年のヨーロッパ・ツアー以降、コロナ・パンデミックの影響で各メンバーは、サンフランシスコを離れざるを得ない状況になりました。ギタリストのJeffrey Alexanderはフィラデルフィアに、ドラマーのSheila Boscoはアムステルダムに、ヴァイオリニストのAjrun Mendirattaは北カリフォルニアの辺鄙な場所に移動し、サンフランシスコにはベーシストのBrian Lucasだけが残り、それぞれ個々の活動に専念していた。

 

2018年リリースの傑作アルバム “Paradisiacal Mind” の勢いを止めてはならないと思ったJeffrey Alexanderは、定期的にアーカイブ音源や過去のライブ音源をリリースしていた。その思いが伝わったのか、2022年に7インチシングルを ”On a Clear Drop You Can See Forever“ をリリース。メンバーは直接会うこともなくフィラデルフィアアムステルダム、サンフランシスコで録音された音源を基にオンラインで制作された。その時にDire Wolvesの再活動に期待してくれ!といったアナウンスもあった。そして、2023年11月にやっと新作 ”Easy Portals“ がリリースされたのでした。

 

Dire Wolves / Easy Portals

本作はこれまでの4人Jeffrey Alexander、Sheila Bosco、Arjun Mendiratta、Brian Lucasに、新メンバーとしてヴォーカル、パーカッションにMarina Lazzara、オルガン、シンセサイザーにJ. Leeの2人が加入。ゲストとして元メンバーであったサックス奏者Taralie Petersonが1曲 “Their Heads Are Green” で参加しています。このメンバーでカリフォルニア州オークランドにあるSanto Recording Studioでアルバム制作に臨みました。この場所は “Paradisiacal Mind” を制作した所でもあり、彼らにすれば、最高のシチュエーションであることは間違いないですね。

 

レコード・オンリーでCentripetal Force(アメリカ)、Cardinal Fuzz(イギリス)、Ramble Records(オーストラリア)のレーベル3社からの共同リリースです。A面B面ともに5分から6分前後の曲と15分から17分超える曲の、計4曲を収録しています。インプロビゼーションを軸に各メンバーの個性を十二分に発揮させて、サイケデリックというオブラートに包んだ世界。アメリカのルーツ・ミュージック的な雰囲気も醸し出しながら、神秘的で奇矯な音も混在させながらプログレッシブに鳴り響かせています。Dire Wolvesの再活動に相応しい新たなる方向を示した傑作です。

新加入した2人、呪文のようなヴォーカルMarina Lazzaraとシンセドローンを奏でるJ. Leeは、現在のDire Wolvesから外せない存在となっている。2人ともサンフランシスコのバンドThe Rabblesのメンバーで、Brian Lucasがゲスト参加したことがあるとのことです。この人脈も個人的にはもの凄く興味深い。

 

本来なら、2023年アルバム・ベスト10に入れても良いアルバムであるが、昨年11月にCentripetal Forceに注文して12月中頃に届いた。しっかりと聴くだけの余裕がなく、年が明けてから聴き始めたのであった。次はこのメンバーによるライブ音源を早く聴きたいですね!

 

 

 

以前、Dire Wolvesについて書いています。


Dire WolvesのメンバーであるBrian Lucasについて書いています。