ディスカホリックによる音楽夜話

好きな音楽について駄文ではありますが、あれこれ綴って行こうかな。

Magik Markers「2020」、7年の充電期間を経て新たなる出発点に立つことが出来た素晴らしいアルバム!

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このブログの2020年アルバム・ベスト10のNo.9に選んでいたMagik Markers「2020」。個別に取り上げていなかったので、色々と書いてみたいと思う。2001年にコネチカット州ハートフォードElisa Ambrogio(ヴォーカル、ギター)、Leah Quimby(ベース)、Pete Nolan(ドラムス)の3人で結成。2006年にLeah Quimbyが脱退してからデュオとして活動していたが、前作辺りからアルバムにゲスト参加していたJohn Shawが正式メンバーとなって再び3人組になります。ノイズやエクスペリメンタルを中心としたサイケデリックサウンドを中心に活動していた。2004年にSonic Youthのオープニング・アクトを勤めたことで大きな注目を集める存在となり、Thurston MooreのレーベルEcstatic Peace!からアルバムがリリースされたこともありました。2000年代は年に2~7作もリリースしていた彼らですが、7年振りの新作としてDrag Cityから昨年10月にリリースされたのが「2020」であります。

 

Magik Markers / 2020

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本作は2017年から録音が始まっている。長期間にわたって制作時間が取られています。このことは、彼ら個々のプライベートを大切にしたいという思いから、時間が合うときに少しずつ作られたようです。Elisa Ambrogioは西海岸のシアトルに定住し、Pete Nolanは大学で修士号を取得。そしてJohn Shawは養蜂を始めたとのことです。彼らの生活はかつてのように音楽を中心としていません。自分達のアイデンティティーを確立したうえで、どう音楽と向き合って行くかを問うたアルバムでもあります。

 

Elisa Ambrogioのヴォーカルはこれまで以上にダウナーな雰囲気を醸し出し、全体のサウンドも様々な要素を取り入れている。オープニングナンバー「Surf's Up」は、混沌とした今を象徴するような暗黒ビーチ・ポップソングでアルバム全体の縮図的な曲でスタートする。もちろんノイズやガレージといった彼らの持ち味を最大限に引き出した曲も配置しながら、ダーク・アンビエント、ドローンなども駆使して積極的に攻め込んできます。ラスト曲「Quarry (If You Dive)」は、不安や欲望を押さえながら優しくフォーキーな子守歌といった感じでアルバムを締めくくっています。

 

この7年間、散発的な音楽活動は個別にしていたと思うが、走り続けていたことを少し止めて充電したことで、新たなる出発点に立つことが出来た素晴らしいアルバムだと思う。何時の日かライブを見てみたいバンドでもありますね。